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KDDIが「au 5G」対応移動基地局車を披露 4G LTEを含むほぼ全バンドをサポート

KDDIが、5G通信に対応する車載型基地局(移動基地局車)を報道関係者に披露した。au 5Gはもちろん、au 4G LTEにも対応しており、ほぼ全ての電波帯域を用いることでユーザーの収容能力を大幅に高められることが特徴だ。【更新】

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 KDDIは8月27日、報道関係者を対象とする「モバイルネットワークに関する説明会」を開催。その会場で「au 5G」に対応する車載型基地局(移動基地局車)が初めて公開された。今後、多くの人が集まるイベントなどで活用される見通しだ。

【更新:9月3日20時】KDDI提供の資料に更新があったため、一部の画像を差し替えました

5G対応基地局車
KDDIが導入した5G対応車載型基地局。2台のうち1台を説明会場に持ち込んだという

 現在、au 5G対応車載型基地局は首都圏に2台配備されている。車載基地局にはさまざまなタイプがあるが、2台はいずれも多く人が集まるイベントなどにおいて収容人数(同時に利用できるユーザー)を増やすことを主目的とするタイプで、光回線があらかじめ引き込まれた場所での利用が前提となっている。

概要
KDDIが導入した5G対応基地局車の概要

 2台の車載型基地局は、5Gと4G LTEの両方に対応した設計となっている。

 5Gでは、KDDIに割り当てられたSub-6波(Band n78:3.7GHz帯)とミリ波(Band n257:28GHz帯)の両方でエリアを構築できる。4G LTEでは、同社に割り当てられた全ての帯域(Band 1/3/11/18/28/42)に加えて、子会社のUQコミュニケーションズに「WiMAX 2+」用として割り当てられているBand 41のエリア化も可能だ。

 KDDIグループへと割り当てられたほぼ全てのBandに対応することで「収容能力を大幅に高めた」(担当者)ことになる。

アンテナ部
5G対応車載型基地局のアンテナ部。KDDIグループが割り当てを受けている全てのBandに対応している
4G LTE
ちなみに、KDDIでは4G LTE用車載型基地局でも、全Bandに対応するタイプを導入している。これも、イベントなどにおいて収容人数を増やす目的で作られたものとなる

 対応するBandが多いということは、使われる無線機器もそれなりに多くなる。また、場合によっては、車載型基地局を電源から遠い場所に置かないといけないケースもある。

 そこで、5G対応車載型基地局には大容量発電機も搭載されている。静音性が求められる場所に配備されることもあるため、発電機自体も静音タイプを選んだという。

機器室
全てのBandに対応しているため、機器室内には所狭しとそれぞれのBandに対応するための装置が並ぶ
発電機
静音タイプの大容量発電機も搭載しているため、電源を自己完結することができる

 5G対応車載型基地局は「本来であれば『コミックマーケット98』に合わせてデビューする予定」(担当者)だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止が決定した上、他のイベントも中止が相次いだため、今のところ“実戦稼働”はしたことがないという。

 KDDIでは、今後も5G対応の車載型基地局を増備する計画だという。新型コロナウイルスの問題が落ち着いたら、全国各地で活躍する姿を見られるはずだ。

ハイブリッドカーを使った災害対策用車載型基地局も

 車載型基地局には、光(固定)回線が途絶した場合でも、通信衛星や無線エントランスなどを使ってエリアを構築できるものもある。

 近年、KDDIでは通信衛星を搭載した車載型基地局において、ワゴンタイプのハイブリッドカーをベースにしたものを用意している。

 この車載型基地局は、災害発生時に通信を迅速に回復することを目的としている。トラックベースのものよりも機動性に優れている上、対応する通信規格やBandを絞り込み、電源をベース車のバッテリーから取るようにすることで、コンパクトでも十分な能力を発揮できるようになったとのことだ。

 衛星通信用アンテナは向きや角度を自動調整するようになっており、端末との通信を担うアンテナも設営しやすいものとなっている。「(作業員が)1人でも短時間で緊急時の通信を確保できる」(担当者)ことが特徴だが、「オペレーション担当などとの連絡に備えて」(同)、この車載型基地局を配備する場合も、基本的には2人体制を敷くという。

ハイブリッドカー
ワゴンタイプのハイブリッドカーをベースとする車載型基地局。災害発生時に迅速に配備できることが特徴だ

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