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「全機種5G」「基地局5倍」で5Gサービスを強化するKDDI 課題は“政府の値下げ要求”?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

auが秋以降に発売にするスマートフォンは、原則として全て5Gに対応。4Gからの周波数転用も活用しながらエリアも一気に広げる方針で、2021年3月には1万局、2022年3月には5万局の開局を目指す。テレビ局の動画配信サービスをセットにした新料金プランも導入する。

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ピタットプランを値下げし、バンドルプランはバリエーションを拡大

 全端末を5G化するのに備え、料金プランも改定した。4Gの料金より1000円高かった「ピタットプラン 5G」は、値下げで同額にする。ピタットプランは段階制で使った容量に応じて料金が上がっていく仕組みのため、データ容量が無制限のプランとは異なり、トラフィックは端末の通信方式に左右されづらい。また、ユーザーの選択肢が5G端末だけになる以上、金額を4Gと同等にしなければ、単なる値上げになってしまい、移行の足かせになる。ピタットプラン 5Gの料金改定は、ラインアップを5Gに一本化する上での必然だったというわけだ。

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ピタットプラン 5Gは料金を1000円下げ、4Gと同額にする

 容量無制限の「データMAX 5G」は、料金を据え置きにした一方で、コンテンツサービスと料金プランのバンドルを強化。10月2日から、民放テレビ局の動画配信サービスをまとめて契約できる「データMAX 5G テレビパック」の提供を開始する。

 データMAX 5G テレビパックには、テレビ朝日とKDDIが共同で運営する「TELASA」に加え、フジテレビの「FODプレミアム」、TBS、テレビ東京、WOWOWなどの「Paravi(ベーシックプラン)」が含まれ、料金(税別)は合計で1万180円(2年契約の場合)。家族割プラスで4人契約すると2020円、auスマートバリューで1000円の割引を受けることができ、12カ月間1000円割引の「5Gスタート割」や6カ月間1700円割引の「スマホ応援割III」を適用すると、料金は4460円まで下がる。

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民放テレビ局の動画配信サービスをセットにしたデータMAX 5G テレビパックを10月2日に導入
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TELASA、Paravi、FODプレミアムがセットになった

 TELASA、Paravi、FODプレミアムを単体で契約すると月額利用料の合計は2375円だが、auデータMAX 5Gに1700円プラスするだけで、これら3サービスが利用可能になる。テザリングやデータシェア、国際ローミング利用時の容量が30GBから70GBに上るメリットもある。高橋氏は「これまではサービスと料金が分離していたが、このサービスがあるならauの5Gがいいというふうに持っていきたい」と、狙いを解説。テレビ局の動画配信サービスは、豊富なコンテンツがそろっている一方、バラバラに契約すると煩雑で料金も高くなるため、データMAX 5G テレビパックが受け入られる余地はありそうだ。

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3サービスを合わせた動画のラインアップは、日本最大級になるという

 一方で、菅義偉政権が発足して以降、政府からの料金値下げ圧力はさらに強まっている。高橋氏は「要請は真摯(しんし)に受け止めなければいけない」と語り、対応を検討していく方針を示した。特に大容量プランは、諸外国との比較で高止まりが指摘されており、データMAX 5Gについては、値下げをする必要が出てくるかもしれない。とはいえ、5Gのエリア拡大はまだ始まったばかりで投資もかさむ。5Gの拡大と料金値下げは相反する部分もあるだけに、KDDIにとって、難しいかじ取りを迫られているといえそうだ。

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