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楽天モバイルの5Gは“超限定的” 3キャリアにどこまで対抗できるのか石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

楽天モバイルの5Gは料金を据え置きにして「Tada(ただ)5G」を訴求する。サービスインに合わせ、自社ブランドの端末「Rakuten BIG」も用意した。一方で、エリア展開は3キャリアよりも課題が多い。

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端末ラインアップは当初2機種、ミドルレンジモデルが不足か

 5Gのサービス開始に合わせ、対応端末も用意した。6.9型と大画面で、Sub-6とミリ波に両対応した「Rakuten BIG」がそれだ。発売済みのシャープ製スマートフォン「AQUOS R5G」も、同時のソフトウェアアップデートで5Gに対応した。これら2機種が楽天モバイルにとっての“ローンチモデル”になる。

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自社ブランド端末第2弾となるRakuten BIG。Sub-6とミリ波に両対応した
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発売済みのAQUOS R5Gも、アップデートで5Gに対応する

 ハイエンドモデルで価格が10万円を超えるAQUOS R5Gに対し、Rakuten BIGはSnapdragon 765Gを採用したミドルレンジモデルで6万9800円とリーズナブルだ。楽天モバイルCTOのタレック・アミン氏は、自社ブランドの端末を開発した理由を、「コストを引き下げていくため」だと説明する。「ミリ波とSub-6の両方に対応し、カメラも非常にいい。これだけのスペックに対して、価格は安い」(同)というわけだ。

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CTOのアミン氏は、自社ブランドの端末を開発した理由として、周波数利用効率のよさやコストの安さを挙げた(写真提供:楽天モバイル)

 Snapdragon 765Gを採用したおサイフケータイ対応モデルには、ソフトバンクの導入したOPPOの「Reno 3 5G」があり、価格帯も近い。一方でReno 3 5Gは、Sub-6のみでミリ波には非対応。ハイエンドモデルでもミリ波非対応の端末が多い中、ミドルレンジモデルのRakuten BIGがミリ波に対応したのは異例だ。アミン氏はRakuten BIGを「周波数利用効率もいい」と評していたが、Sub-6とミリ波を同時にスタートさせる同社の戦略に沿うためには、自社ブランドの端末を開発する必要があったことがうかがえる。

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ZTEのグローバルモデルがベースになっている一方で、ミリ波やおサイフケータイに対応するなど、楽天モバイルならではのカスタマイズが加えられている(写真提供:楽天モバイル)

 ただし、現時点ではラインアップは2機種のみと少ない。本格サービスを開始してから1年もたたない楽天モバイルに、ラインアップの拡充を求めるのは酷かもしれないが、KDDIが「全機種5G」を打ち出した後なだけに、インパクトに欠けているのも事実だ。自社ブランド端末として、Rakuten BIGに加え、横幅がスリムな「Rakuten Hand」の投入も発表したが、こちらは4Gのみの対応。10月には、楽天モバイル以外の3社が5G対応のiPhoneを導入する想定であることを踏まえると、現状のラインアップは手薄といえる。

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スリムボディーが売りのRakuten Handも開発したが、こちらは4Gのみ

 Rakuten BIGの6万9800円は、確かにコストパフォーマンスが高い一方で、絶対額としてはまだまだボリュームゾーンの価格帯には届いていない。楽天モバイルの売れ筋端末が3万円前後のミドルレンジモデルに集中していることを踏まえると、KDDIが販売するXiaomiの「Mi 10 Lite 5G」のように、4万円前後の低価格な5Gスマートフォンの導入も必要になりそうだ。

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