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携帯料金値下げ、一般ユーザーの要望は? 武田総務大臣との意見交換会で見えたこと(2/2 ページ)

10月8日、武田総務大臣と携帯電話利用者の意見交換会が総務省で開催された。安くて分かりやすく、納得感のある料金やサービスを実現すべく、今後の政策立案に役立てることが会の目的。武田総務大臣は「料金プランの中身が分かりにくいという話が印象的だった」と話す。

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安くても品質が低下したら困る

 総務省が発表した内外価格調査では、日本の携帯料金は諸外国と比べて高いことが指摘されているが、英国のOpensignalが実施した世界主要各国の通信品質調査では、日本が上位にランクインしているという結果もある。ただ、こうした情報は一般ユーザーには届いておらず、「海外との比較は正直、聞かれてもよく分からない」(木村氏)という状況だ。

 「安いからといって品質が低下しても困る。品質と料金のバランスをきちんと実現してほしい」という悩ましい意見も。MVNOへの乗り換えがなかなか進まないのも、このあたりが大きな要因になっているのかもしれない。

携帯値下げ
英Opensignalの調査によると、日本の4G接続率は主要6ヵ国の中でトップ、平均速度は2位と高い水準にあるが、こうした状況を把握している一般ユーザーがどれだけいるのだろうか

サポートはやはり重要

 近藤氏は、「高齢者がオンラインでスマートフォンの購入手続きができない例がある」ことも問題点に挙げる。高齢者向けのスマホ教室は「間違いなく使われる」という声も多く挙がったそうだ。「データのバックアップと言われても、バックアップって何ですか? という所から始まる」ため、やはりショップをはじめとする手厚いサポートへの期待も大きいことがうかがえる。

どのぐらい安くなればいいのか

 参加した5人から、具体的に「何割下げてほしいという要望はなかった」そうだが、携帯料金が家計に占める割合は大きくなっていることから、値下げ自体を歓迎する声は大きいようだ。

 「低所得者の場合、家族それぞれがスマホを1台ずつ持っていると1万円を超える。さらに、支払いが延滞すると、信用情報にも引っ掛かり、その後のローンにも響く。携帯を手放すような方もいらっしゃるけど、携帯を手放してしまうと、職探しもできなくなってしまう」(赤石氏)

「分かりにくさの改善」と「値下げ」を並行して進める?

 武田氏は、会の最後に「利用者の(料金プランの)中身が分かりにくいという話が印象的だった」と話したという。「(料金プランが)自分に合っているかいないか、そこをしっかりと消費者が理解して購入できるやり方を整えたい」とした。

 「分かりにくい料金体系」は値下げとは別の話なので、割引前の料金をしっかり提示する、期間限定のキャンペーンをやめる、といったことで対応はできるだろう。一方、品質やサポートを重視している声も多かった印象だが、ここは値下げとは相反する部分。サポートや通信サービスの品質を落とさずに値下げを……となると、キャリアはますます難しいかじ取りを迫られているといえる。

 なお、意見交換会について、第2回目以降を開催する予定は現時点ではない。会合で出た意見は高齢者や女性のものが多かった印象だが、もう少し幅広い層にヒアリングしないのか。川野氏は「国民の全員に聞くことはできないので、いろいろな利用者に直接関わる活動をしている団体の方、という視点で(5人を)選んだ。選考過程については控えたい」とコメント。

 「競争ルールの検証、ワーキンググループ、有識者会合は総務省として開催している。(競争ルールの検証に関する)報告書(案)への意見募集を9月に開始し、今日(10月8日)が締め切りなので、出た意見をとりまとめていく」(川野氏)

 今後はパブリックコメントや有識者会合などを通じて、具体的な方向性を定めていくことになりそうだ。

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