楽天モバイルも含めた4キャリアのモバイル回線、世界的に見て品質はどう?(1/2 ページ)
Opensignalが、「2020年10月-日本のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスについての分析報告書」を公開。2020年6月1日から9月末までに収集された日本の携帯電話事業者4社のデータを分析。スピードと遅延については、ダウンロードではドコモが1位だった。世界約100カ国との比較も紹介された。
世界のモバイルネットワークのユーザー体感を分析しているOpensignalが、「2020年10月-日本のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスについての分析報告書」を公開。同社の分析担当副社長イアン・フォッグ(Ian Fogg)氏が、このレポートについてオンラインで説明した。今回の調査には楽天モバイルも含まれている。
Opensignalは、英国に本社を構える独立系モバイル分析会社だ。世界中で1億台以上のデバイスから収集された数十億の測定値を解析して、分析レポートとして定期的に公開している。また、グローバルで統一した解析方法を採用しており、各国のモバイルネットワークの比較分析も行っている。
今回公開したのは、2020年6月1日から9月末までに収集された日本の携帯電話事業者4社のデータ分析結果だ。ダウンロードとアップロードにおけるスピードおよび遅延、音声体感、ビデオ体感、ゲーム体感、4G利用率の5カテゴリーについて計測し、分析を行っている。
初登場の楽天モバイルがアップロード速度で1位
スピードと遅延については、ダウンロードではドコモが52.3Mbpsで、4月の調査に引き続き1位。アップロードでは11.8Mbpsと他を引き離し楽天モバイルが1位となった。新規事業者が賞を獲得するのは異例のことで、楽天モバイルについてフォッグ氏は「初登場で1位を獲得したのは素晴らしい」と称賛している。
ビデオ体感の調査では、実際にストリーミング動画をスマホに流して技術特性を計測し、実際に見える画像や動画の質をスコアリングしている。動画トラフィックの扱い方はキャリアごとに異なっており、Opensignalの計測手法でその差異を検知できるという。その結果、ソフトバンクのユーザー体感が最もよいという結果になった。
今回、日本で初めてモバイルゲーム体感も計測した。マルチプレーヤーゲームを対象に、スマホでプレイした場合を計測している。動画と同様、パケットロスやジッターなどを含む各技術特性を計測し、ゲームのプレイにどのような影響を与えているかをスコアリングしているという。このゲーム体感でもソフトバンクが最も良い成績を残しているが、他の3社との差はわずかだ。
音声アプリに対するユーザー体感とは、LINEやSkype、Facebook Messengerなどの音声通話を利用した場合の体感だ。4社ともほぼ同じ数値だが、小差でこれもソフトバンクが1位となった。
4G利用率は、ユーザーが4Gネットワークにどれくらいの時間、接続できているかの割合を示している。フォッグ氏は「5Gの接続にも非常に重要になる」とコメント。現状、ほぼ全ての携帯電話事業者はノンスタンドアロン(NSA)方式で5Gのサービスを提供しており、4Gにアクセスしないと5Gも利用できない状況だからだ。
この4G利用率では、auが99.3%で最も高くなった。なお、auはグローバルでも4G利用率で1位だ。auは4G LTEネットワークを積極的に展開し、3Gサービス「CDMA 1X WIN」に接続できる端末の販売も早くに終了しているため、このような好成績になっているものと推測できる。ちなみに、楽天モバイルの4G利用率も3キャリア同様、非常に高い。「ユーザー体感を重視するため」(フォッグ氏)、パートナーエリアでの接続も含んだ結果だからだと思われる。
この5カテゴリーの分析をまとめた結果は以下の表の通りだ。ソフトバンクが3カテゴリーで1位になっているが、他の3キャリアもいずれかのカテゴリーで1位となっている。
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