武田良太総務大臣がKDDIに「ガッカリした」と大激怒――メインブランド値下げにこだわり、楽天とMVNOは切り捨てか:石川温のスマホ業界新聞
日本経済新聞に掲載されたKDDIの高橋誠社長のインタビュー記事に対して、武田良太総務大臣が怒りをあらわにした。UQ mobileの新料金プランを評価していたにもかかわらず、メインブランドの値下げを要求し始めたのだ。これで割を食うのは、楽天モバイルとMVNO各社だろう。
武田良太総務大臣が激高している。
KDDI・高橋誠社長が日経新聞のインタビューでメインブランドの値下げについて「すぐには動かない」と否定し「国に携帯料金を決める権利はない」とも語った点について、武田総務相が「ガッカリした」と述べたのだ。普段から高橋社長は、総務省の通信行政に対して言及する際は、相当、慎重に言葉を選ぶのだが、今回は新聞記者にうまいこと、言葉を切り取られたのだろう。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年11月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
武田総務相は、KDDIやソフトバンクがサブブランドで新料金プランを発表した際には「一定の評価をした」にも関わらず、ここにきて「けしからん」というスタンスに180度、態度を改めた。
その根拠となるのがメインブランドからサブブランドに移行する際に「高いプランから低廉のプランに移る時には、複雑な手続と1万5500円という手数料を取る。これでは低廉化に向けた動きに対して、利用者は乗ってこない」と憤っているのだ。
過去を振り返ると、UQモバイルは別会社だったし、ワイモバイルも元々はウィルコムやイー・モバイルだった。契約解除料や新規事務手数料、さらにはMNP転出手数料がかかっていたのは理解できなくもないが、サブブランドにした段階で、確かに撤廃していたほうが賢明であった。
1万5500円というのは契約解除料(9500円)や新規事務手数料(3000円)、MNP転出手数料(3000円)の合算と見られるが、2019年10月の改正電気通信事業法で契約解除料は1000円以下になっているはずではないか。また、MNP手数料の無償化もすでに議論されており、武田総務相の肝いりであるアクション・プランにも盛り込まれている。
今後、乗り換えのハードルが下がる目処が立っているにもかかわらず、なぜ、早計にお怒りになるのか。
また、サブブランドの新料金プランはワイモバイルが12月、UQモバイルが2月開始であり、まだ提供されていない。ユーザーは移りたくても移れない状態だ。
実際にサービスが提供され、ユーザーが動くかどうかを見極めて判断すればいいのではないか。
ただ、やっかいなのは、今後、メインブランドからサブブランドへのハードルが下がったとき、結果として、auからUQモバイル、ソフトバンクからワイモバイルというグループ内だけの動きとなり、楽天モバイルやMVNOにユーザーが移行しないという懸念も出てくる。将来的にグループ内での囲い込みが強化されるのは目に見えているわけで、アクション・プランも無用の長物と化す可能性がある。
メインブランドに値下げを迫るということは、将来的に3社の寡占状態に戻り、競争のなくなる通信市場に逆戻りする気がしてならない。武田総務相はそこまで視野に入れて「誠意を示せ」と言っているのだろうか。
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