ソフトバンクは3ブランドでドコモとUQ mobileに対抗 新料金プランは「安く」「分かりやすい」:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
NTTドコモの料金値下げに即対抗したのはソフトバンクだった。同社はソフトバンクとY!mobile(Y!mobile)の双方を値下げすると同時に、LINEと共同運営の形を取るLINEモバイルを完全子会社化。第3のブランドとして、「SoftBank on LINE」をコンセプトにしたオンライン専用のブランドを立ち上げる。
ソフトバンクは無制限プランを導入、料金は「シンプル」が主流に
さらに、大容量プランを売りにしていたソフトバンクでは、容量無制限の「メリハリ無制限」を導入する。テザリングは30GBまでと制限が残るものの、スマートフォンでの通信は、文字通り使い放題になる。しかも金額は6580円と、既存の「メリハリプラン」を5Gで契約したときより1900円安くなる。金額水準はドコモの5Gギガホ プレミアに合わせた格好だが、70円安く設定されている。
分かりやすいのが、4Gと5Gの区別をなくしたところ。メリハリ無制限は、どちらで契約しても料金は6580円。ドコモの場合、4Gと5Gで料金プランが分かれており、100円の差が設けられているが、これを撤廃することで、よりシンプルな料金体系になった。家族割引の「新みんな家族割」も、2人なら600円、3人なら1100円の割引になり、条件が分かりやすくなった。榛葉氏は、「(値下げは)定価に入れ込み、割引も本当に分かりやすくした」と自信をのぞかせる。
榛葉氏が「良かれと思ってやっていたが、お客さまやネットの(分かりづらいという)声を真摯(しんし)に受け止め、反省すべきだと思った」と語っていたように、シンプルさは、3ブランド共通のコンセプトだ。先に挙げたY!mobileも、期間限定の割引を廃し、正価での安さにこだわった。割引も家族か固定回線のどちらか1つで500円と、非常に覚えやすい。1プランで割引などは一切ないSoftBank on LINEは、言わずもがなだ。
家族割引や固定回線とのセット割自体は否定されるものではないが、やり過ぎると、ユーザーにとっての“縛り”になってしまう。条件が複雑だと、うたい文句通りの金額で使えなくなり不満も高まる。ドコモに対抗し、それ以上にシンプルな料金プランを打ち出してきた点は高く評価したい。
大手3キャリアでは、KDDIが年明けまで発表を持ち越したが、値下げ以上に、ユーザーにとって分かりやすい料金体系を打ち出すことを期待したいところだ。一方で、KDDIは、NetflixやApple Musicなどのコンテンツと料金プランをセットにするバンドルプランをauの売りにしてきた。コンテンツを利用するユーザーにはお得で便利な半面、トレードオフとして、プラン数が増え、難解に見えてしまっているのも事実だ。バンドルプランの長所を生かしつつ、分かりやすさとどう両立させるのかは、注目しておきたいポイントといえる。
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