MVNOの業界団体が総務省に「要望書」を提出 接続料や音声卸料金の低減を求める
テレコムサービス協会のMVNO委員会が、総務省で行われた研究会の会合に合わせて「要望書」を提出した。昨今の競争環境の変化に合わせて、MNOとMVNOとのイコールフッティングを求めている。
テレコムサービス協会MVNO委員会は1月18日、総務省で開催された「接続料の算定等に関する研究会」の第40回会合に合わせて、竹内芳明総合通信基盤局長宛に「要望書」を提出した。要望書では、大手キャリア(MNO)とMVNOとの間で競争面における「イコールフッティング」を担保できるような取り組みを求めている。
要望書の概要
要望書では、MNOが打ち出している新たな料金プランについて「家計負担の軽減に繋がるものであり消費者にとって望ましいものである」と評価している。一方で、MVNOがそれに対抗しようとしても、MNOが課す現行の「データ接続料」や「卸料金」では不可能であり、「MNOとMVNOのイコールフッティングの観点から(接続料や卸料金の設定額が)適正ではない」と訴えている。
その上で、MNOとMVNOのサービス面における「イコールフッティング」を確保をするために、MVNO委員会は総務省に3つの緊急措置を講じるよう求めている。
データ接続料について
総務省は、2020年10月27日に発表したモバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プランにおいて、MVNOがMNOに支払うデータ接続料を「今年度(2020年度)から3年間で昨年度(2019年度比)で5割減」を目指す旨を盛り込んでいる。
しかしMVNO委員会は、アクション・プランの取り組みだけでは「原価の急激な競争環境の変化に対処できない」として、データ接続料について以下の措置を講じるように求めている。
- アクション・プランの目標達成時期の前倒しと、さらなる接続料の低減に向けた行動
- (上記に時間を要する場合)MNOへの可及的速やかなデータ接続料の引き下げ要求
音声卸料金について
MVNOの音声通話サービスは、MNOからサービスの卸提供を受けることで提供される。しかし、この卸料金はデータ接続料と比べると算定根拠が曖昧で「割高である」という指摘がある。その上、国内通話の(準)定額は卸提供されていないことから「不公平だ」との声もある。
そんな声を受けてか、MNOは音声通話サービスの卸料金の見直しや、プレフィックス番号(※)を自動で付与する機能を提供することを表明した。しかし、MNOの新たな料金プランでは、au(KDDIと沖縄セルラー電話)の「povo(ポヴォ)」を除いて5分以内の国内通話定額を利用できることから、このままではサービス面での不公平さが増してしまう可能性がある。
(※)接続する通信事業者(電話会社)を指定するための「00」で始まる番号
そこでMVNO委員会は、MNOとMVNOの協議状況とMNOの取り組みを確認した上で、MNO各社に随時必要な措置を行うように促すことを求めている。
イコールフッティングを担保するルールの在り方
電波は“有限”の資源であることから、「少数のMNOが周波数帯域と設備を保有し、多数のMVNOがMNOから設備を借りてサービスを提供する」という事業構造はこれからも変わらないと思われる。
MVNO委員会は、設備を保有するMNOと保有しないMVNOが同じ条件で設備を利用できる「イコールフッティング」の確保が重要であると指摘した上で、以下の取り組みを要望している。
- MNOの廉価プランについて「スタックテスト」(接続料と利用者料金との関係の検証)を実施すること
- 固定通信分野での取り組みを参考にしたイコールフッティング確保策の実施を検討すること
なお、「固定通信分野での取り組み」としては、過去に以下のような取り組みが行われている。
- 接続料の算定ルールの精緻化(算定に必要な「総帯域幅」「設備余裕」の考え方の整理、費用に関する項目の定義の精緻化など)
- 「設備部門」と「利用部門」の会計分離
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