聴覚/発話障害者の電話アクセスを改善――「電話リレーサービス」が7月にスタート 負担金は「1番号当たり年間7円」
総務省が、手話通訳などを介して聴覚や発話が困難な場合でも電話をかかけられる「電話リレーサービス」の周知広報を開始した。交付金や負担金の仕組みを始め、利用方法などの広い認知に向けて情報発信を行う。
総務省は4月2日から、7月から開始する「電話リレーサービス」に関する周知広報を本格的に開始した。固定/携帯電話サービスを提供する事業者の協力を得つつ、電話利用者に制度を広報していくという。
電話リレーサービスとは?
電話リレーサービスは、2020年に成立した「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づいて提供される。聴覚や発話に障害を抱えている人でも、手話通訳サービスオペレーターなどを介して電話を行えるようにすることをを目的としており、公共サービスとして24時間365日利用できる。同種のサービスは、従来から民間事業者も提供してきたが、公共サービスとして制度化することで、双方向利用や緊急通報への対応を強化を図る。
今後、5月中旬頃から利用申し込みを受け付け、7月1日からサービスを開始する予定だ。
2021年度の負担金は「約7円」 原則として電話利用者が負担
電話リレーサービスの運営に必要な資金の算定/交付ルールは、「ユニバーサルサービス料金」と似た仕組みとなっている。
実際のサービスは「提供機関」が提供する。提供機関には日本財団電話リレーサービスが指定されている。運営資金の算定、電話サービス事業者からの回収と提供機関への交付は「支援機関」が担う。支援機関はユニバーサルサービス制度と同じくTCA(電気通信事業者協会)が指定されている。
サービス料は、前年度の通信収入が10億円を超える携帯/固定/IP電話事業者が負担する。先述の通り、負担金の算定は支援機関(TCA)が行っており、2021年度は約15億4300万円とされた。これを負担対象事業者の電話番号の数で割ると、1番号当たり約7円となる。
ユニバーサルサービス料と同様に、多くの電話事業者では電話リレーサービス料をユーザーの電話料金に加算する形で請求する(※)。2021年度の場合、2021年7月から2022年1月にかけて毎月1円(計7円)の料金が加算されることになる。
(※)ユニバーサルサービス料や電話リレーサービス料は、負担対象の電話事業者が負担方法を選択できるようになっている。そのため、制度上はユーザーに負担を求めない(=事業者が全額負担する)こともできる
総務省は関係省庁、提供機関、支援機関、地方自治体、電話事業者や消費者団体と協力して制度に関するリーフレットを配布したり、Webサイトで情報を発信したりする計画だ。また、通訳オペレーターを介して電話があった場合に通話を拒否することなどがないよう適切な対応も呼びかける。
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