3Gから4G、そして5Gへ モバイル通信の進化で業界のトレンドはどう変わった?:ITmedia Mobile 20周年特別企画(1/4 ページ)
モバイルの通信規格は、おおむね10年に1回、世代が進むといわれている。3Gではデータ通信速度が最大384kbpsになり、パケット定額サービスが導入された。LTE(4G)ではスマートフォンが普及し、キャリアのビジネスモデルが変革を迎えた。
ITmedia Mobileが創刊20周年を迎えた。筆者が自身の連載「石野純也のMobile Eye」をスタートさせたのは2012年1月のことで、丸9年の間、書き続けてきた。当初は隔週だった連載も、いつの間にか週刊になり、今に至っている。当初、ここまで長く続くとはまったく思っていたが、モバイル業界はニュースも多く、連載も穴を開けることなく続けてきている。9年というと、ITmedia Mobileの歴史のほぼ半分に相当する計算だ。
記念すべき(?)連載第1回のテーマは、CES 2012でのソニーモバイルとKDDIのスマートパスポート構想、そしてWireless City PlanningのAXGPだった。ここで取り上げた「Xperia S(Xperia NX)」は、3Gのスマートフォン。KDDIやソフトバンクも、LTEのサービスは開始していなかった。ドコモは2010年12月に、他社に先駆けLTEを商用化していたものの、対応スマートフォンが発売されたのは2011年11月のこと。当時はちょうど、LTE対応スマートフォンが出始めのころだった。
2001年には384kbpsだった通信速度は、20年で5000倍近く上昇
モバイルの通信規格は、おおむね10年に1回、世代が進むといわれている。実際、日本では5Gがスタートしたのは2020年だったが、3.9Gとも呼ばれたLTEのサービスインは上記の通り2010年で、ちょうど10年の間が空いていることが分かる(なお、厳密に言えば4Gはキャリアアグリゲーションを採用したLTE-Advancedを指す言葉だが、ここでは便宜上、LTE=4Gとして扱っていく)。さらにさかのぼると、3Gの商用化は2001年。LTE開始までにかかった期間は9年になり、通説が正しいことを証明する。2GのPDCは1993年にサービスを開始し、次世代の登場までに8年間かかった計算だ。
もともとは音声通話のために使われていた携帯電話だが、2Gの途中でiモードが登場したことにより、データ通信サービスが一気に花開く。といっても、当初の通信速度はわずか9.6kbpsと10kbpsにも満たない。2001年にドコモがFOMAとして開始した3Gでは、これが384kbpsに拡大した。3Gにはデータ通信に特化した拡張規格のHSPAがあり、ダウンロードを高速化したHSDPAの採用が2006年に登場。通信速度は3.6Mbpsにまで拡大した。
LTEは、この約10倍にあたる37.5Mbpsで2010年12月にサービスをスタート。利用できる周波数帯を追加していくことで、現在は1Gbpsを超える速度を出せるようになった。ITmedia Mobileの前身となるZDNet Mobileが開設した2001年には384kbpsだった通信速度が、今では2Gbpsを超えていると思うと、その進化の速さには驚かされる。2020年で5000倍近く速度が向上した結果、モバイルのサービスは劇的に変わった。2001年当時には考えられなかったモバイルでの動画視聴なども、今では当たり前のようになっている。
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