3Gから4G、そして5Gへ モバイル通信の進化で業界のトレンドはどう変わった?:ITmedia Mobile 20周年特別企画(2/4 ページ)
モバイルの通信規格は、おおむね10年に1回、世代が進むといわれている。3Gではデータ通信速度が最大384kbpsになり、パケット定額サービスが導入された。LTE(4G)ではスマートフォンが普及し、キャリアのビジネスモデルが変革を迎えた。
世代交代を進めるために必要なキラー端末/サービス
もっとも、新規格がすぐに普及するとは限らない。むしろ世代交代を進めるには、キラーとなる端末やその上で楽しめるサービスが必要だった。例えば、3Gの普及はドコモの900iシリーズで潮目が大きく変わっている。900iシリーズでiアプリを拡張し、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったゲームが遊べることは大きな話題を呼んだ。こうしたアプリも、通信速度の速い3Gならダウンロードできるというのは、通信規格の進化を分かりやすく示した一例といっていい。
上記はW-CDMAを採用したドコモのケースだが、CDMA側も同様に世代交代が進み、2003年にはCDMA2000 1x EV-DO方式を採用した「CDMA 1X WIN」が登場。当時のダウンロード速度は2.4Mbpsで、HDPA未導入のW-CDMA陣営より高速で通信できた上に、パケット定額制の「EZフラット」を初めて導入した。定額制のインパクトは大きく、コンテンツの大容量化も進んでいく。音楽ダウンロードサービスの「着うたフル」がauから登場したのも、通信規格や端末、料金プランという下地があったからこそだ。
LTEの普及も同様で、キラーとなる端末やサービスを待たなければならなかった。LTE普及の立役者となったのは、他でもないスマートフォンだ。ただし、日本での初代iPhoneとなる「iPhone 3G」が登場したのは2008年のこと。Androidの第1号機となった「HT-03A」は、その翌年の2009年にドコモから発売され、いずれもLTEのサービス開始前に3G端末として市場に投入されている。そのため当初は、スマートフォンを使いこなすのに十分な通信速度は出ていなかった。通信インフラが常時接続を前提にしていたスマートフォンに追い付いていなかった結果、ドコモやKDDIでは大規模な通信障害も発生してしまった。
こうした中、LTEに対応した2012年の「iPhone 5」の登場に合わせ、KDDIやソフトバンクもLTEのサービスを開始。翌2013年のiPhone 5sをドコモが導入し、3社でiPhoneが横並びになったことで、LTEのエリア競争が加速した。端末が横並びなら、広くて速いLTEを提供するキャリアが選ばれるという理屈だ。キャリアアグリゲーションが導入されたのは、その翌年の2014年。異なる周波数を束ねることで、LTEの通信速度は年を追うごとに高速化していく。
それに伴い、スマートフォン上で提供されるサービスも徐々に高度化。当初はTwitterなど、文字ベースのSNSがスマートフォン上で流行したが、写真を中心にしたInstagramや動画ベースのTikTokなど、さまざまなサービスが生まれ、普及していった。動画や音楽のサブスクリプションサービスがスマートフォンで利用できるのも、LTEが広く行き渡ったからこそだ。また、今ではほぼ全てのスマートフォンユーザーが利用するLINEが登場したのも、2011年のLTE普及前夜だった。
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