EV-DOは4200円定額制〜11月28日全国一斉開始 “ケータイ版ADSL”──。KDDIは高速データ通信サービス「CDMA 1x WIN」を発表。通信方式「EV-DO」を使い、下り最大2.4Mbpsの通信速度を月額4200円の定額で提供する。定額制を生かしたテレビ型のコンテンツ「EZチャンネル」もスタートする。
KDDIは10月22日、最大2.4Mbpsの高速データ通信サービス「CDMA 1x WIN」を11月28日から開始すると発表した。音声端末が2機種、データカード型端末1機種が投入される。EZwebとEメールなど携帯電話内で行うパケット通信に限って、月額4200円の定額制プラン「EZフラット」が利用できる。
同社小野寺正社長は、「次の世界を我々が開く。1x WINはケータイ版ADSL。ブロードバンド携帯が誕生した」と期待を表現した。今年度、45万人の加入を見込む。
これまで「EV-DOでも完全定額制は難しい」と言い続けてきたKDDIだが(1月9日の記事参照)、フタを開けてみれば、携帯電話サービスに限ってとはいえ定額制を実現した。 「非常な決断。DDIポケットがやっているような、すべてのサービスを含んだ定額制は難しい。(EZwebやメールは)我々がファイルサイズを変えられるなど、コントロールできる部分なので実現できた」と小野寺氏は説明する。 4200円という定額制プランの料金をどう見るかは微妙だが、「4000円以上のパケ代を支払っているユーザーは、(他キャリアも含めた携帯全体で)1000万人以上いる」(小野寺氏)という。一部のヘビーユーザーだけでなく、20代から30代の幅広い層のユーザーを1x WINで狙う。 1x WIN端末は従来のCDMA2000 1xと互換性を持つが、「1xとWINは併存。WINで新しいユーザーを取り込んでいきたい」と小野寺氏は話し、1x導入時とは違い基本的に併存させていく意向だ。ただし、「将来的には1x WINが100%となる時代もくるかもしれない」とした。
1x WINで少々ややこしいのはエリアの考え方だ。auのサービスエリアは三つの通信方式が共存しており、端末はそれぞれ上位互換性を持っている。つまり、1x WIN端末は、最大2.4Mbpsのデータ通信だけでなく、144KbpsのCDMA2000 1xデータ通信、64KbpsのcdmaOneデータ通信も可能で、各通信方式のエリアで最高位の通信方式を利用することになる。 「インフラに関わらず、EV-DOの料金。端末も全国一斉発売」(1x EV-DO推進室の重野卓氏)。
1x WINの設備はCDMA 1xの基地局に併設する形で、急速にエリア展開を行う。開始当初は関東・中部・関西の3大都市圏で当該地区の70%程度をカバー。2004年3月には全国主要都市もカバーし人口カバー率70%以上、2004年9月には人口カバー率90%以上を予定している。
1x WINは、通信方式として「CDMA2000 1x EV-DO」を利用したサービスだ。データと音声の利用チャンネルを分け、データに最適化することで高速度かつ低価格を実現する(2001年7月の記事参照)。 スピードは下り最大2.4Mbpsとされており、1セクター(1基地局あたり数セクターが存在する)当たり平均で700K〜800Kbpsの通信が可能。同じセクター内で複数人が同時利用した場合は、通信速度をシェアする形になる。なお、上りの通信は1xとほぼ同じ仕組みを使い144Kbpsとなる。 4月から行っている試験サービスは2GHz帯を使ったが(3月28日の記事参照)、1x WINサービスでは800MHz帯を利用する。1xと設備の一部を共用することで、エリア展開を急ぐ。EV-DOは、KDDIが持つ23MHz幅程度の周波数から、1チャンネル当たり1.25MHzをデータ用として占有するが、「800MHz帯もまだ余裕がある」(au事業本部長の沖中秀夫氏)。いずれ800MHz帯がひっ迫した際には、2GHz帯を活用する構想だ。なお当初の1x WINエリアでは、EV-DOに割り当てられるのは1チャンネルとなると言う。
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