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スマホの望遠カメラが新境地に 「Galaxy S21 Ultra 5G」「Xperia 1 III」に施した工夫石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

Huaweiのスマートフォンを契機に、ハイエンドスマホの“望遠カメラ競争”が一気に進んだ。一方で、スマートフォンのコンパクトなボディーに高倍率のレンズを収めるには、どうしても画質に限界がある。そこに一石を投じたのが、サムスンの「Galaxy S21 Ultra 5G」とソニーの「Xperia 1 III」だ。

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2つの望遠カメラを搭載し、3倍ズームも可能になったGalaxy S21 Ultra 5G

 Galaxy S21 Ultra 5Gは、背面に4つのカメラを搭載する。内2つが望遠カメラで、それぞれ標準カメラに対しての倍率が異なる。1つが3倍、もう1つが10倍だ。先代にあたるGalaxy S20 Ultra 5Gにも、4800万画素の10倍ハイブリッド光学ズームが可能な望遠カメラが搭載されていたが、バストアップ写真のように、被写体にグッと寄りたいシーンには使いづらかった。

Galaxy S21 Ultra
ドコモから発売されるGalaxy S21 Ultra 5G

 レンズのF値もF3.5と暗く、手ブレもしやすい。スペック上はデジタルズームを組み合わせて最大100倍ズームすることができたが、正直なところ、取りあえず被写体が何であるかを判別できる程度に写っている写真しか撮れなかった。100倍というのは、競合他社を意識したマーケティング上の数字だったといえる。利用シーンでいえば、メインのセンサーで撮った写真を切り出すデジタルズームを使うことの方が多かったはずだ。

 これに対し、Galaxy S21 Ultra 5Gは、ポートレート撮影や影が写り込まないよう、少し離れて撮るときに使いやすい3倍の望遠カメラが追加で搭載されている。3倍の望遠カメラは、レンズのF値が2.4と明るく、画素数も約1000万画素。1倍から10倍に一気に倍率を上げるのではなく、間に3倍の望遠カメラを設けることで、ズームの使い勝手を上げた格好だ。

Galaxy S21 Ultra
撮影時の画角ボタンが4つになり、ワンタッチでカメラを切り替えられる

 10倍ズームも健在だが、こちらはどうしても近づけない被写体を撮るためのもの。F値は4.9とかなり暗く、最大倍率の100倍まで被写体に寄ると、撮れた写真は手ブレもあってガビガビになってしまう。三脚を使えばある程度キレイにはなるが、出番は限定的になりそうだ。その意味で、Galaxy S21 Ultra 5Gはカメラを1つ追加することで、うたい文句の派手さと実用性を両立させたといえる。

Galaxy S21 Ultra
100倍まで被写体に寄ることができる点は、先代のGalaxy S20 Ultra 5Gと同じだ

 一方で、この仕組みだと、対応する焦点距離の数を増やそうと思ったら、そのたびにカメラが1つ追加されていくことになり、コストが上がるだけでなく、CMOSセンサーやカメラモジュールの実装も難しくなってくる。デザイン的にも、背面がカメラだらけになってしまい、仕上げが難しくなるのがデメリットといえそうだ。

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