スマホ以前の“カメラ付きケータイ”は、独自の進化を遂げて面白かったのである:ITmedia Mobile 20周年特別企画(3/3 ページ)
2000年に登場したカメラ付きケータイは、独自の進化を遂げた。2002年はまだ11万画素カメラの端末が当たり前のようにあったのに、2003年には100万画素を超え、メガピクセル時代になるのだ。デジタルカメラのブランドを冠したモデルも登場した。
独自進化を遂げたケータイカメラは、2010年に最後の花を咲かせたのだった
そして2008年、アレがやってきたのである。「iPhone 3G」だ。
でも、iPhone 3Gはたった200万画素だったし、画質もいいとはいえなかったし、何しろソフトバンクしか扱っていなかった。
2009年にはドコモから「Xperia」が、2010年にはauから「IS01」が出たけれども、まだ日本国内の主流はケータイだったわけで、でもスマートフォンの登場が刺激になったのか、2009〜2010年には面白い端末がいっぱい出ている。
とことん独自進化を遂げちゃって、ギミックも複雑だしテレビは見られるしFeliCa搭載で電子マネーも使えるし(EdyもSuicaもとっくに使えていた)ので「ガラパゴスケータイ」といわれたわけだが、今見返すと、やっぱガラパゴスならではの特異な進化がめちゃ面白い。
この、横にも縦にも開くヒンジのパナソニックの端末とかけっこう好きで、自分でも使っていた。
2009年には800万画素のケータイが誕生。こちらは富士通の「F-09A」だ。
2010年は1200万画素のカメラを搭載した端末がそろい踏みしたのだ。iPhoneが1200万画素になるのは2015年のiPhone 6sなので、画素数的には5年早かったのだ。
この頃になるとインカメラも積んでいるし、タッチパネルも使えるしで機能的にはiPhoneをはるかにしのいでいたのだけど、ハイエンドコンパクトデジカメを追って機能も複雑化していって、シンプルでミニマムなiPhoneのカメラ機能とは真逆に行っちゃったのだった。
画質もずいぶん上がっているのだけど、この年が最後になりましたな。翌2011年からはスマートフォン一色になるのだ。
2010年にはInstagramがサービスを開始。ケータイから写真を投稿しやすかったmixiはスマートフォン対応が遅れたこともあり徐々に過疎化し、人々はTwitterやFacebookやInstagramを通して写真をやりとりすることで、デジタル時代の写真文化を手に入れたのである。
面白いのは今でも1200万画素であること。4800万画素とか1億がそのセンサーを搭載したスマートフォンも出てきているけど、結局デフォルトでは1200万画素の画像を作っているのだ。
画素数競争が終わった分、HDRとか夜景とかで見栄えのする画質を作る方へ向かっているのは正しいと思う。
スマートフォンの時代になると、もうつい最近って感じなので、カメラ付きケータイに絞って振り返ってみた。しまいにはガラパゴスといわれたけど、でもガラパゴスならではの進化っぷりやさまざまなアイデアは、それはそれで面白かったのである。
まさか、スマートフォンがケータイのみならずコンパクトデジカメまでシュリンクさせていくとは予想外だったのだけどね。
関連記事
- 形状にクセ。ただし画質は大幅向上〜「P900iV」
国内で初めて回転2軸ヒンジを世に問うた「P2102V」の後継機種が「P900iV」。カメラも195万画素に高画素化され、ヒンジ周りの使い勝手も改善。画質も大きく向上している。 - ケータイカメラは、どこまで“EXILIM”の画質に迫るか──「EXILIMケータイ W53CA」
“EXILIM”の名を冠し、2007年夏モデルで最高クラスのカメラ機能を備えるカシオ計算機製のデジカメケータイ「EXILIMケータイ W53CA」。では、その写りはどこまで“EXILIM”なのか。同社製の“本職”デジカメとの作例比較も含め、その画質と使い勝手を深くチェックしていく。 - “Cyber-shotを使っている”ような楽しい気分になる──Cyber-shotケータイ「SO905iCS」
500万画素CMOSや光学3倍ズーム、顔認識AF「顔キメLite」や笑顔認識シャッター「スマイルシャッター」を搭載する、ソニー・エリクソン製の“Cyber-shotケータイ”「SO905iCS」。では、どれだけ“Cyber-shot”しているのか。作例や使い勝手とともに、その実力を見ていこう。 - 笑っちゃうほど何もないシンプルカメラ、ピントの合う範囲が独特──「iPhone 3G」
“おまけ”とか“しょぼい”とも言われるiPhone 3Gのカメラ機能だが、実際のところはどうか。いくつかのシチュエーション別に撮った作例を中心に、改めて使い勝手や特有の「クセ」、ケータイ宛てに写真を送る方法などをチェックしていく。 - 気分に合わせてタテヨコ使い分け、サクサク撮れるケータイカメラ──「P-03A」
ディスプレイが横に開くWオープンスタイルを採用する、ライトな“VIERAケータイ”が「P-03A」。カメラは3.2Mピクセルで、最近のハイエンドカメラケータイと比べるとスペックはやや劣り、フォトライトは備えないが、その分サクサク動き、Wオープンスタイルで縦と横を気分に合わせて使い分けられる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.