「分離プラン」と「新型コロナ」で逆風 携帯ショップのあるべき姿とは?:ワイヤレスジャパン 2021(2/2 ページ)
キャリアショップのビジネスモデルは、総務省が推し進める「通信と端末の完全分離」の方針によって打ち砕かれた。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行により、店舗への来店客が減少している。キャリアショップは大きな業界構造の転換を迫られている。
4年半で計1万1737件のクレームを収集
全国携帯電話販売代理店協会(全携協)は、大手キャリアのショップを運営する代理店が加盟する業界団体だ。全国に7700店舗あるキャリアショップのうち、全携協加盟社の運営は6500店舗にのぼる。
主な活動は、ショップ運営の苦情収集、ショップ対応向上のための取り組み、従業員定着度の向上のための取り組み、関連政策への意見提出、社会貢献活動などがある。
全携協が発足した2014年当時は、携帯電話が社会インフラとして重要な製品となりつつある中、強引な販売手法に対する批判が高まり、社会問題化しつつあった。そうした苦情を吸い上げ、販売元である大手キャリアにフィードバックするのが苦情収集活動だ。
活動開始から2020年6月までの4年半で計1万1737件のクレームを収集。クレーム内容によって分類し、必要があれば大手キャリア側に改善提案を行っている。これまで1621件の改善提案を実施し、このうち1565件は大手キャリアからの回答を得ているという。
ショップ対応の向上については、主に従業員教育用の動画を作成し、ショップ店員の意識向上を図っている。高齢者への応対やコンプライアンス啓発、不適切販売の抑止を周知する内容で、2020年度には11本の動画が作成された。
また、携帯キャリア各社が所属するTCA(電気通信事業者協会)との共同で、キャリアショップの質の向上を目指す「あんしんショップ認定制度」を運営している。「あんしんショップ大賞」を開催し、キャリアショップの取り組みの中から特に優れたものを表彰している。
コロナ禍では大手キャリアと連携して、来店カウンターにアクリルパネルを設置する活動をいち早く実施。従業員教育ではオンラインセミナーへ移行するなど積極的な対策をと取っている。
従業員定着度向上の取り組みは、従業員の離職が高いという、携帯販売代理店業界そのものが抱える課題の解決を目指すものだ。
操作のサポートを担う携帯電話ショップは、必然的にクレームが多くなる傾向にある。中には悪質なクレームや暴力を振るう来客もいる。全携協が実施した従業員アンケート調査では、悪質なクレームや暴力に遭遇した従業員が、流通の全業種の平均よりも高かったという。
全携協では悪質クレームに対するガイドラインを制定し、携帯キャリア各社と連携して対策を進めている。俣野氏は「ES(従業員満足度)の重視という観点からも、お客さまの行き過ぎた行動には、意図的に抑止するような動きを取らせていただきたい」と強調した。
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