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スマホ決済や6Gの動きで遅れていないか? +メッセージの開放は? KDDI株主総会の質疑応答

KDDIが6月23日、第37回定時株主総会を開催した。2021年度はKDDIにとって、中期経営計画の最終年度に位置付けられる。高橋誠社長は、「マルチブランドによる5G利用の積極促進」「au経済圏拡大の取り組み」「社会のデジタル化推進に向けた取り組み」という3つの柱を改めて説明した。

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 KDDIが6月23日、第37回定時株主総会を開催した。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、都内の会場とオンライン配信の両方で開催した。

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株主総会に臨むKDDI高橋誠社長

 2021年度はKDDIにとって、中期経営計画の最終年度に位置付けられる。高橋誠社長は、「マルチブランドによる5G利用の積極促進」「au経済圏拡大の取り組み」「社会のデジタル化推進に向けた取り組み」という3つの柱を改めて説明した。

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KDDIが現在、柱に掲げている3つの事業

 5Gについて、メインブランドのauでは2019年10月以降に発売するスマートフォンは全て5G対応とし、povoやUQ mobileも2021年夏に5Gを導入する予定。5Gエリアは山手線や大阪環状線など、ユーザーの生活導線を重視した構築を進めていく。既存の周波数も活用しつつ、2022年3月末までに5G基地局は約5万局、人口カバー率は約90%を目指す。

 au経済圏は、auじぶん銀行やau PAYの「金融」、auでんきの「エネルギー」、au PAYマーケットの「コマース」にて、スマートフォンを起点にした「いちばん身近な金融サービスを目指す」とした。

 社会のデジタル化推進に向けた取り組みでは、場所にとらわれずセキュリティを担保したネットワークを提供する「マネージド ゼロトラスト」や、5G時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」などを紹介した。

 株主との質疑応答では、事前にテキストで送付された質問と、会場で挙がった質問に役員が回答した。

 「ライフデザイン事業が後発で、順位、知名度、業績が他社に後れを取っているが、どう改善するか」という質問には村本伸一副社長が回答した。2019年に開始したau PAYは後発だったことから加盟店数で劣後していたが、「この2年間で急速にキャッチアップし、au PAYでの決済やPontaポイントが使える場所は約400万箇所に増えた。大型キャンペーンを実施したことでサービスの認知度も向上し、会員数が3200万に拡大した。1億人の会員数を超えるPontaとの連携でお客さま基盤の拡大を図る」と話し、Pontaの大きな会員基盤が差別化につながることを示した。

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決済・金融サービスの取扱高や、auでんきなどの契約数は堅調に伸びている
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加盟店数は約400万箇所に上り、キャンペーンが功を奏して認知度も向上した

 「NTTグループが6Gの実用化に向けて『IWON構想』を進めているが、KDDIが遅れている印象を受ける」という質問には吉村和幸執行役員常務が回答。KDDIは「Society 5.0」の実現を5Gで加速させる次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定しており、誰もがテクノロジーの恩恵を受けられるよう、現実空間と仮想空間の融合を目指す。一方、「IWON構想はどちらかというとサイバー(仮想)空間が中心だが、KDDI Accelerate 5.0はサイバーからフィジカル(現実)へフィードバックすることが違い」だとした。例えば、ロボティクスやXRなどがそれで、デバイスを通じて現実世界で通信の恩恵を受けられるというわけだ。

 KDDIはフードデリバリー事業を展開するmenuとの提携を6月に発表したが、強豪がひしめく中でどう戦っていくのか――という質問には森田圭執行役員常務が「(menuの)加盟店はUber Eatsには劣っているが、6万店くらいに増えており、先行他社と比較して遜色ない」とコメント。利用拡大に向けたプロモーションを強化しており、ONE PIECEを使ったテレビCMや、6月2日から実施しているauスマートパスのキャンペーン(クーポンのプレゼント)、7月から実施するPontaポイントがたまるキャンペーンなどに言及。「au PAYやPontaなどと連携することで、他社を上回る規模で成長させたい」と意気込みを語った。

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクが提供しているメッセージサービス「+メッセージ」も話題に挙がった。株主の発言は「2018年5月の開始から3年がたったが、いまひとつ普及していない」という不満から、「MVNOやサブブランド、楽天モバイルとなぜ一緒にできないのか」「(国際規格の)RCSをベースにしているのだから海外でも接続可能にすべき」「PCでも使えるようにすべき」「LINE以上に使われるためには、ボイスメッセージなどLINEができることはできないといけない」まで、多岐にわたる。

 +メッセージの強みについて森田氏は「携帯番号のみというシンプルなユーザーインタフェース、回線契約時に本人確認をしていることから安全・安心さを評価いただいている」と話す。また+メッセージでは企業がユーザーに直接配信できる公式アカウントを開設できる。その際、キャリア側が厳正な審査を行っていることから、「信頼性が高く、なりすましもない」と森田氏は強調した。

 3キャリアでしか利用できない問題については「私どもから、他の方々(楽天モバイルやMVNO)に使えと言うわけにはいかない。各社からお申出いただければ検討したい」と述べるにとどめた。海外での利用については「RCS準拠なので、将来的には海外事業者との連携も可能性がある」とした。なお、+メッセージの利用者は現在3社合計で2300万とのこと。

 NTTの接待問題に派生して、「監督関係省庁から人が手厚い待遇で(NTTグループに)定期的に来ていることが批判されるべき問題だというのを耳にした」との声も出た。これについて高橋氏は「われわれにも(元公務員が)在籍はしているが、国家公務員の再就職先に限らず、情報通信政策に寄与するなら登用することがあってもいいとは思っている。国家公務員法に抵触することはあってはならないので、十分配慮した上でそういうことがあってもいいかなと思っている」との考えを示した。

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