5Gのエリア整備の苦労は? KDDIが「鉄道路線5G化」に関する取り組みを説明(3/3 ページ)
KDDIが、山手線と大阪環状線の駅ホームの「au 5G」エリア化を完了した。それに合わせて、同社は主に鉄道駅における5Gエリア整備に関する説明会を開催した。
「パケ止まり」対策も欠かせない
現在の5Gネットワークは、LTEネットワークと協調して動作する「NSA(ノンスタンドアロン)構成」となっている。NSA構成では、5G通信中もLTE通信が“待機”する。5Gの電波が弱くなった場合、LTE通信が補完して通信が継続される。しかし、5Gの電波が弱まった際に、5G基地局が通信をムリに継続しようとすると、データのやりとりが進まなくなることがある。
この「パケ止まり」現象は、競合のNTTドコモにおいて報告を多く見かける。しかし、理論上はauを含む他のキャリアでも起こりうるものだ。
KDDIでは、5G基地局のパラメーターを随時調整することで、パケ止まりが極力発生しないように取り組んでいるという。「高速な通信」と「つながることによる快適さ」のバランスをうまく追求しているようだ。
駅ホームのエリア化はどうやっている?
今回の説明会では、山手線の駅における5Gエリアの整備状況も取材できた。
ホーム上は、3.7GHz帯に加えて3.5GHz帯(4G LTEからの転用)を使ってエリア化されている。基地局やアンテナの設置場所や数は、駅の乗降客数やホームの形状によって異なる。
肝心の通信速度だが、アンテナを見通せる場所であれば下り1Gbps以上で通信できる。動画のダウンロードも快適にこなせそうである。
5Gのメリットを“可視化”する取り組みも
5Gのメリットは数値だけでは示しづらい。そこでKDDIではau 5Gユーザー限定でユーザー体験を向上する「au 5Gエクスペリエンス」を提供している。
今回の説明会では「XR CHANNEL」で提供されている、スヌーピーとau 5Gとのコラボレーション企画「5Gエリアに出現! ARスヌーピーに会いに行こう」も体験できた。この企画は、au 5Gエリアに行ってXR CHANNELアプリのAR(拡張現実)カメラを使うと、場所や日時に応じてスヌーピーと一緒に写真を撮れるというものだが、au 5G端末を使って見ると「特別なスヌーピー」に出会えるという。
ARデータのやりとりには大量の通信が発生するが、5Gを使えばそれも楽である――数字がなくても5Gのメリットを体感できるのは確かだ。
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