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グーグルが自社開発プロセッサをPixel 6に搭載――ハイエンドモデルからエントリーモデルへの展開はあるのか石川温のスマホ業界新聞

Googleが、自社開発スマートフォン「Pixel(ピクセル)」の新モデルをチラ見せした。最大の特徴は、自社設計したプロセッサ「Tensor(テンサー)」なのだが、このプロセッサを搭載する「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」を、どこまで本気で売るつもりがあるのだろうか……?

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「石川温のスマホ業界新聞」

 グーグルは新製品となるスマートフォン「Pixel 6」をチラ見せした。正式な製品発表は近日、行われる見込みだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年8月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 Pixel 6で注目と言えば、グーグルが自社設計したプロセッサ「Tensor」だ。これまでクラウドでやっていたAI処理をデバイス上で行えるようになるなどのメリットがあるという。

 アップルも自社設計プロセッサを用い、極力、デバイス上でデータを処理することにより、ユーザーの個人情報をネットにあげないように努めているが、まさにグーグルも同じアプローチをとってきたことになる。様々なメディアによれば、Tensorは動画の処理にも強いようで、スマートフォンの静止画・動画処理能力を一気に引き上げることになりそうだ。

 まもなく正式発表されるPixel 6に期待したいところだが、気になるのが「どこまで本気で売る気があるのか」という点だ。

 昨年もPixel 5やPixel 4aなどをソフトバンクやKDDIが取り扱ったが、お世辞にも「売れている」という印象はない。発売時はテレビでCMなども流していたようだが、それによって、Pixelユーザーが増えているという感じがしない。そもそも、Pixel 5やPixel 4aは「Pixel初の5G対応」が目玉であり、あまり機能的な個性がなかったため、売れなくても仕方ない気もしたが、それでも「Pixelらしさ」が目立っていないのは問題だと思う。

 Pixel 6ではTensorによる「AI処理のカメラ画質」を訴求するのかもしれないが、ただ「AI」と言われても、一般ユーザーには浸透しないので、もっとわかりやすい訴求が必要なのではないか。

 また、Pixel 6はハイエンドを狙うようだが、このご時世、ハイエンドを売るのが厳しい条件となっており、ここで販売台数を稼ぐのは難しいのではないか。

 本来であれば、Pixelも3万円程度で5G対応というボリュームゾーンを狙った方がいいように思う。市場ではシャープ「AQUOS sense」が人気だが、中国・OPPOやXiaomiあたりもSIMフリー市場では強かったりする。このランクのスマートフォンはSnapdragonの型番によって評価される傾向があるため、価格と性能のバランスが悩ましかったりする。

 このゾーンにTensorを載せたPixelを投入すれば、型番からは性能がわかりにくいので、他メーカーと面白い勝負ができるのではないか。そもそも、クラウドの頼らず、プロセッサの力によってAI処理するという考え方は、データ容量を消費したくない格安スマホを求める層にマッチするはずだ。

 グーグルとしてはハイエンドを突き詰め、Pixelのブランドイメージを作るのは重要だ。しかし、販売台数を稼ぎ、Pixel事業ならびにTensorを安定させるには、安価なモデルへの展開が不可欠なのではないだろうか。

© DWANGO Co., Ltd.

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