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「決済手数料はトントンぐらいでいい」 PayPay馬場副社長が語る加盟店戦略(1/2 ページ)

PayPayが、売上高10億円未満の中小店舗に対する決済手数料を有料化する。1.6%という決済手数料は、アンケート調査から「これぐらいならば許容される」という見込みをもとにした数字だという。この手数料に加え、「PayPayマイストア」をはじめとするサービスで利益を積み上げていく。

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 PayPayが決済手数料を有料化する。これまで、売上高10億円未満の中小企業・個人事業主の店舗で、店頭に掲示したQRコードを使った決済を行っていた場合は、決済手数料を期間限定で無料化していた。10月1日からは、こうした店舗での決済手数料を最低1.6%、最大1.98%(いずれも税別)に設定する。

 有料化の背景や戦略について、同社取締役副社長執行役員COOの馬場一氏に話を聞いた

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PayPay取締役副社長執行役員COOの馬場一氏

決済手数料でPayPayの利益は「トントンでいい」

 決済手数料は、クレジットカードをはじめとしたキャッシュレス決済では店舗側に必ず必要となるコストだ。日本では長年3〜5%程度の手数料が一般的で、mPOSと呼ばれる一部のサービスでは業種業態、事業規模を問わずに3.24%という数字が多い。

 新興のコード決済事業者は、これを無料化や低廉化することで加盟店の拡大を図ってきた。とはいえ、決済手数料は決済事業者のビジネスの肝であり、コスト度外視で拡大を続けてきたPayPayの赤字は拡大を続けていた。

 もともと2021年9月末で無料化を終了する方針は発表していたPayPayだが、期間限定ながら手数料無料ということで、お試し利用をしていた店舗もあるだろう。そうした加盟店の離脱も想定され、馬場氏も「ある程度の(離脱数の)腹づもりはあるが、それが何%とは言えない」とコメント。

 「PayPayの決済が週に1回しか使われていないなら解約してもいいと思うかもしれないし、頻繁に使われているなら送客効果を感じて続けてもらえるのでは」と馬場氏。PayPayが使われる頻度によって、PayPayを継続するかどうかを決める店舗も出てくると予想する。

 今回の決済手数料有料化の対象となるMPM(店舗掲示型)方式の店舗数は、同社加盟店で「決して少なくない数」(同社代表取締役社長執行役員CEO中山一郎氏)だが、具体的な数字は明らかになっていない。同社の加盟店数は340万カ所以上となっているが、これは「オフィスグリコやタクシーの台数、自販機の数も含まれている」(馬場氏)ため、純粋な店舗数ということになると数字は明らかにされていない。馬場氏は、どの程度がMPMの加盟店で、そのうちのどの程度が離脱するかという予測は明言しなかった。

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PayPayの加盟店数は累計340万カ所を超えた。中小・個店の数は明らかにされていない

 ただ、「PayPayはほとんど使われないが、たまに使われたときに1.6〜1.98%の手数料がかかると、その売り上げは赤字になるのでPayPayは解約する」という店舗がどの程度あるのかは見えにくい。「たまに使われる程度なら許容できるので、固定費が無料ならば継続する」という店舗も一定数いるだろう。馬場氏も「(予測に)自信はない」としており、判断の難しいところだろう。

 この1.6%という決済手数料は、加盟店などに対するアンケート調査から、「これぐらいならば許容される」という見込みをもとにした数字だという。コストや利益も検討した上で、「世の中の一般的な3.24%という数字の半分という勢い」(馬場氏)も重視した。ただ、「決済手数料はトントンぐらいでいい」と馬場氏。その上に、さまざまなサービスを加えていくことで利益を積み上げていきたい考えだ。

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mPOSや決済代行業者を利用した場合、3.24%という数字が1つの基準となっている。その約半分という手数料を狙った

1.6%のボーダーラインは月50万円

 その1つが、同時発表された「PayPayマイストア」だ。店舗向けのマーケティングツールで、店舗の写真や各種情報を掲載し、来店客への情報提供をするとともに、PayPayクーポンを配信することで送客を狙うサービスとなる。

PayPay
PayPay
PayPayマイストアに含まれる機能

 クーポンの配信などの機能を備えた「PayPayマイストア ライトプラン」は1店舗あたり月額2178円(税込み)。このPayPayマイストアに加入すると、決済手数料は1.6%になり、加入しない場合の手数料は1.98%。決済手数料自体は安価になるが、月額料金が必要になるため、「1カ月50万円程度の決済金額がないとペイしない」(同)形だ。

PayPay
PayPay
サービスの主力となるのがクーポン機能だろう。ターゲティングも可能な点が特徴

 とはいえ、50万円を超えないと意味がないわけではなく、クーポンなどによる送客効果などを期待して、導入を検討する店舗があってもいいだろう。マイストアを利用しない場合、決済手数料は1.98%になるが固定費は不要のため、「取りあえず継続して様子見をする」ことも可能だ。

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今後は囲い込み施策にもつながるスタンプカードも提供する

 マイストアはライトプラン以外にクーポン発行の機能などがない無料の限定版もあり、今後はより上位のプランも提供していく。現時点では「全然決まっていない」(馬場氏)とのことだが、より高機能なサービスを提供する意向だ。

 PayPayマイストアのようなマーケティングツールは、これまでもmPOSなどのベンダーを中心に提供されてきた。しかし、店舗側も「なかなか使いこなせていない」(同)のが実情で、これをより使ってもらい、効果を実感してもらうようにするのが目標だ。

 そのために、PayPayが誇る全国の営業網を駆使し、マイストアの使いこなしをサポートしていく。現在は、加盟店開拓に多大な営業コストをかけているPayPayだが、この営業網を使って、新規開拓に加えてマイストアのサポートも提供。むしろ営業の主軸をマイストアに振り分けていく。

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PayPay for Businessでさまざまな分析ができるが、この使いこなしが店舗のデジタル化にとっては重要となる。営業網を駆使して、こうしたサポートも提供していく考えだ

 加盟店開拓も継続して重視するが、一定の規模に達したことで、今後は拡大速度も落ち着いてくる。現状、新規加盟店の「2〜3割は既存加盟店の紹介」であり、さらに「2割程度はWebからの申し込み」だと馬場氏は説明。コロナ禍の終息に伴って新規開店の店が出て加盟店が増えることも期待しており、加盟店の拡大は続けていくが、さらに営業コストを増やして、マイストアの利用拡大を図っていく考えだ。

 とはいえ、現状のマイストアは、決して高機能なマーケティングツールではない。馬場氏自身、「まだ2178円の価値は少ない」と正直に認める。今後「加盟店が望む機能を入れていく」考えで、バージョンアップを続けながら、店の送客や利益の向上につなげていくことを目指す。

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ユーザー側のPayPayアプリだけでなく、PayPay for Businessも「スーパーアプリ化したい」と馬場氏。複数のサービスを集約することで使い勝手を高めていく
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