PayPayの決済手数料が10月から1.6%〜に 6カ月間で最大100万円還元の施策も
PayPayが、年商10億円以下の加盟店に対する決済手数料を発表した。2021年9月30日までは手数料を無料としているが、10月以降は1.6%(税別)または1.98%(税別)とする。店舗とユーザーがつながるツールとして、月額2178円(税込み)の「PayPayマイストア ライトプラン」を提供する。
PayPayが、年商10億円以下の加盟店に対する決済手数料を発表した。2021年9月30日までは手数料を無料としているが、10月以降は、ユーザーがPayPayで決済した取引金額の1.6%(税別)または1.98%(税別)とする。
1.6%の手数料についてPayPayは、他のスマホ決済手数料が2.45%〜3.25%、クレジットカードの決済手数料が2.5%〜3.75%であることに触れ、キャッシュレス決済業界最安水準だとしている。
店舗とユーザーがつながるツールとして、店舗向けに月額2178円(税込み)の「PayPayマイストア ライトプラン」を提供する。PayPayマイストアでは、ストアページでお店の情報を案内したり、クーポンを配信したりと、手軽に販促活動ができる。クーポンは来店したことにない人や、しばらく来店していない人に絞って配信することもできる。今後は、性別、年齢、居住地などをターゲティングしてクーポンを配信することも視野に入れている。ユーザーは店舗のレビューを投稿できるので、口コミでの集客効果も期待される。
2021年度をめどに、PayPayで決済をするだけでスタンプがたまる「スタンプカード」も提供する予定。こちらはクーポンと同様にユーザーの再来店を促進するもので、お店のファン作りをする狙いがあるという。
ユーザーに向けた情報やクーポンの発信だけでなく、PayPayマイストアでは店舗運営のデジタル化も推進していく。管理画面ではどんなユーザーが来店し、マイページを見ているか、またスタンプの状況も分かるという。紙のメニューをデジタル化してテーブルオーダーできる機能、ユーザーに直接メッセージを送る機能、ローンを借りられる機能、スタッフの面接やシフト管理ができる機能も提供する予定だ。
PayPayマイストア ライトプランに加入していると、決済手数料を優遇して1.6%とする。未加入の場合は1.98%の手数料となる。
すぐにキャッシュが欲しいという店舗に対し、月1回の支払いだけでなく、翌日に振り込む「早期振込サービス(都度/自動)」にも対応する。振込手数料に加えて0.38%の振込利用料が発生するが、2022年3月までは都度振込利用料を無料とする。
【訂正:2021年8月20日10時30分 初出時に、振込利用料について誤りがありました。おわびして訂正致します。】
PayPayの馬場一副社長は、PayPayのキャンペーンは大手チェーンが中心で、個人商店は対象外であることが多かったことに対する不満の声を受け、中小店舗の支援を強化する考えを明かす。低水準の手数料にすることで店舗の負担を軽減し、PayPayマイストアを提供することでマーケティングも支援する。
さらに、PayPayマイストア ライトプランに契約してエントリーすると、最大6カ月間、PayPayの決済金額の3%をプレゼントするキャンペーンも実施する。振り込み上限額は、1法人または1個人あたり100万円となる。
キャンペーン期間は申し込み時期によって異なる。2021年9月19日までに申し込むと、2021年10月1日から2022年3月31日までの6カ月間、2021年9月20日から10月19日までに申し込むと、2021年11月1日から2022年3月31日までの5カ月間となる。9月19日までに申し込んだ方が1カ月間長いのでお得だ。
10月から決済手数料がかかるものの、3%還元キャンペーンによって手数料はマイナスになり、実質5〜6カ月間無料期間が延長する形となる。キャンペーン終了後にPayPayをやめる中小店舗が出てくることが懸念されるが、PayPayの中山一郎社長は「加盟店にとってもPayPayにとっても、持続可能で透明性が高い手数料をお願いする。総合的に判断いただけるのではないかと思う」と話す。手数料が発生しても、トータルでは売り上げが伸びて店舗にはプラスになるとの考えのようだ。
決済手数料が有料となることで、PayPayにとっては売り上げ増となるが、黒字化のめどについては「ダイレクトにお答えはできないが、経営に自信を持って前に進めている。持続可能な経営をしていきたい」(中山氏)と述べるにとどめた。
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