Xiaomiのスマホが絶好調 世界2位、中国3位の秘密を探る:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが初の2位に躍り出た。日本でもコスパの高い製品をSIMフリー市場のみならず通信事業者にも提供することで、ユーザーを着々と増やしている。Xiaomiにとって母国である中国市場の攻略も重要なテーマになっている。
Xiaomiのスマートフォン事業が好調だ。各調査会社の報告によると、2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが初の2位に躍り出た。また中国でも3位に浮上している。日本でも次々と新製品を出すXiaomiは瞬間的な世界1位も見えてきた。Xiaomiの強さを調査会社のレポートから見ていこう。
SIMフリー市場だけでなくキャリアに提供することでシェアを伸ばす
IDCやCanalysなど大手調査会社が2021年7月に発表した世界のスマートフォン出荷量シェアは、市場に大きな衝撃を与えた。Xiaomiが史上初のシェア2位となったからだ。メディアの中には「Appleが2位から転落」という見出しを付けるところもあったが、例年Appleが強いのは秋の新製品投入直後の第4四半期であり、翌第2四半期にシェアを落とすのは市場では想定済だ。しかし3位に落ちたとはいえ、Appleは前年同期より出荷量を増やしており、iPhoneの販売は決して不調ではない。
第2四半期の注目は、Huaweiが不在となったグローバル市場で他のメーカーがどこまで数を伸ばせるかだった。中でもXiaomiは既に2021年第1四半期でAppleとの差を詰めており、第2四半期の結果に注目が集まっていたのだ。Xiaomiの2021年第2四半期は出荷量が前年同期比で80%を超える成長を見せ、マーケットシェアは3位Appleの14%を抜いて17%となった。またOPPO、vivoも30%弱の成長でそれぞれシェアを10%に乗せた。
一方、シェア1位のSamsungは出荷量が前年同期比15%にとどまり、シェア1位は守ったものの19%と、Xiaomiとの差はわずかになっている。第2四半期はミドルレンジを中心とした「Galaxy Aシリーズ」を次々と出したものの、中国メーカーに対抗することはできなかったようだ。
筆者は4月に「Xiaomiの世界2位が見えてきた」との記事を書いた。これは通年2位の意味だったが、第2四半期だけとはいえ堂々の2位の座に上り詰めたXiaomiの勢いはこれからも止まりそうにない。
日本でも徐々にXiaomiの存在感が高まっている。コストパフォーマンスの高い製品をSIMフリー市場のみならず通信事業者にも提供することで、ユーザーを着々と増やしている。この戦略は他の国でも同様だ。Xiaomiはハイエンドモデルも多数出しているが、ブランド認知度や信頼性ではまだAppleやSamsungには及ばない。「安くても高品質で使いやすい」製品を地道に投入し続けることで、消費者の信頼を少しずつ勝ち取ろうとしているわけだ。
Xiaomiが徐々にシェアを伸ばしている様は四半期ごとの出荷量のグラフを見ると分かる。IDCの調査を見ると、1年前からXiaomiのスマートフォン出荷量は右肩上がりとなっている。2020年第4四半期は落ち込んでいるが、これはAppleの新製品の影響だ。蛇足ながらこのグラフからはAppleの出荷量がいびつな形状であることも分かるだろう。Appleはおそらく第3四半期のシェアをさらに落とすだろうが、第4四半期には「iPhone 13(仮称)」の登場で1位に返り咲くはずだ。通年でAppleが2位を守れるか、あるいはXiaomiに抜かれるかはiPhone 13のパフォーマンスが大きく影響するだろう。
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