MVNOに開放された「+メッセージ」 それでも課題は山積、打倒LINEは遠い?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアが合同で提供する「+メッセージ」が、UQ mobileとY!mobile、そしてMVNOに提供される。SMSやMMSの進化版として順調に規模を拡大しているが、課題も多い。現状の+メッセージは非常にシンプルなメッセージのやりとりだけとどまっており、コミュニケーションを起点にしたサービスの拡充が遅れている。
拡大対象は2500万回線以上、まずはau回線のMVNOに対応
サービス開始から3年強で、それなりの規模感になった+メッセージだが、MVNOに提供されていないのは、LINEなどのメッセンジャ―アプリと比べたときの弱みになっていた。回線に縛られる形になると、ユーザーがキャリアを変更する際の足かせになりかねない。また、この3年間で料金値下げが進んだ結果、キャリアの主力ブランドがUQ mobileやY!mobileに移りつつある。
UQ mobileは5月末時点で300万回線を突破、Y!mobileは8月時点で700万回線まで積み上がっているといい、この2社だけで回線数は1000万にのぼる。加えて、総務省に「SIMカード型」と分類されるMVNOは、3月時点で1568万回線まで拡大しており、携帯電話市場全体の13.4%を占めるまでになった。いわゆるサブブランドやMVNOで使えないとなると、ユーザー数が伸び悩んでしまう恐れがあったというわけだ。
このような状況の中、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、「利用できるお客さまを広げるため」(KDDI広報部)に、+メッセージをそれぞれの回線を使ったサブブランドやMVNOに提供することを決定した。KDDIは9月2日、ドコモは9月下旬、ソフトバンクは2022年春に対応を行う。既にKDDIは自社で展開するUQ mobile、povoに加え、IIJmioやmineoといったau回線を借りるMVNOにも+メッセージの提供を始めている。au回線でサービスを提供するIIJmioは、同日検証結果を発表。au回線を使うタイプAで利用可能になっていることを明かした。
大手キャリアから回線を借りるMVNOだが、+メッセージはMVNOの設備を経由しておらず、卸契約の音声通話やSMSと違って請求情報がMNOからMVNOに渡ることもない。規約上はサードパーティーのアプリと同じで、MNOがユーザーに直接提供するサービスという位置付けになる。MNO側は、MVNOに払い出した電話番号を管理しているため、自身の回線を利用しているかどうかはそこで判別している。MVNO側がシステム改修などの負担をする必要がなく、回線を借りている全MVNOが一律で対応できたのは、こうした仕組みのおかげだ。
ただし、3キャリアがそれぞれ電話番号とのひも付けを行っているため、+メッセージを採用していない楽天モバイルの自社回線ではこれまでと変わらず利用できない。同じRCSを採用するRakuten Linkと+メッセージの相互接続を行えばメッセージやスタンプのやりとり程度はできそうにも思えるが、アプリ側に実装している機能面での違いも多く、一筋縄ではいかないだろう。例えば、Rakuten Linkでは音声通話機能も提供しているが、+メッセージでは非対応。逆にRakuten Linkでは、スタンプなどの機能が利用できない。
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