「新料金プランの220円値下げ」や「キャリアの端末販売」の狙いは? イオンモバイルに聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)
イオンモバイルが10月1日から、新料金プランをさらに220円値下げした。ドコモ回線に関してはオートプレフィックスも導入して、標準の電話アプリ経由での通話が原則として「イオン電話」と同じ扱いになった。10月1日にSIMロックが原則として禁止になることを見越して、キャリア端末とイオンモバイルの回線のセット販売を店頭で訴求していくという。
差別化はデータ通信の料金を軸にしている
―― 音声接続によって通話料も下がりますが、これについてはいかがでしょうか。
井原氏 もともとイオン電話が30秒11円で、通話料を気にされる方はそちらで電話をかけていました。とはいえ、結構な割合で利用していない方もいました。割合で言えば、通常の通話アプリからの発信の方が多いぐらいです。請求を見てから「あれ?」と思う方が相当数いたのだと思います。イオンモバイルは9月10日から30秒11円に変更しましたが、それに合わせてau回線も9月から新料金になっています。
―― auについては、音声接続ではないと思いますが、なぜ値下げできたのでしょうか。
井原氏 標準の料金自体が下がり、従量課金部分が30秒14円ではなくなったようです。それに合わせて、基本料金も下がりました。au回線でオートプレフィックスをやれていないのは、現状だとSIM交換が必要になってしまうからで、今のまま切り替えられるようになれば、いずれは音声接続になっていきます。
―― 卸価格が下がったのであれば、無理に音声接続にする必要性は薄いと思いますが、そこにこだわる理由はなぜでしょうか。
井原氏 かけ放題をやるには、プレフィックスが必要だからです。それもあり、au回線の音声通話も値下げはしましたが、かけ放題に関してはアプリを使ってくださいとなっています。消費者保護や使い勝手の面でも、やはりプレフィックスの方がいいですね。
―― 料金自体の値下げに比べて、通話料はあまりアピールしていない印象も受けましたが、どの程度売りになるとお考えでしょうか。
井原氏 基本的に、差別化はデータ通信の料金を軸にしています。(通話料も入れると)差別化の軸が2つになってしまうので、なかなか難しい。今の市場はデータ通信の料金の関係が差別化要因になっているので、アピールしづらい側面があります。ただし、MNOは30秒21円のままなので、かけ放題に入らない状態ではMVNOの方が安くなりました。その意味で、対MNOとの差別化にはいいと思っています。
サブブランドやahamoなどの影響もあって6月以降は苦戦
―― 4月1日に料金プランを改定しましたが、その後の動きはどうでしたか。10月の値下げとは、何か関係があるのでしょうか。
河野氏 3月の春商戦は年間で一番盛り上がるタイミングですが、今年(2021年)はMNPの獲得が非常に厳しかった。4月に「さいてきプラン」を導入して以降、MNPが伸びました。ただ6月以降、コロナ禍で来店が減っていることもあり、ECは絶好調ですが、店頭でのMNP獲得は苦戦しています。8月に料金値下げを発表して以降、特にプロモーションをしているわけではありませんが、問い合わせは増えているので期待しています。
井原氏 容量別で言うと、特に20GB以上のプランに入る方が増えていて、その傾向は4月以降、ずっと続いています。増え方も、何倍というレベルです。これは、各社がオンライン専用プランを出し、20GBという数字が一般的になったからかもしれません。
―― 6月以降の店頭が苦戦したのは、コロナ以外で何か理由があったりするのでしょうか。
河野氏 サブブランドが値下げしてきたことや、ahamo、povoなどの新料金がスタートした影響だと思います。大手キャリアからイオンモバイルに来ていたような方々が、ソフトバンクからY!mobileに移ったり、auからUQ mobileに変更したりと、同じ会社の中でプラン変更してしまうようになりました。背景には、やはりサブブランドが値下げしたことで、私どもとの価格差が小さくなってしまったことがあると思います。
井原氏 (同一会社のブランド変更に)MNP転出の手続きすらいらなくなってしまったので、そこが痛いと言えば痛いですね。
河野氏 端末の安さも大きいと思います。非常に安く販売されている端末がありますが、われわれにはその原資がありません。
井原氏 6月ぐらいから、iPhone SEが週末だけ安くなっているといったことがあり、その影響もあります。
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