「Xperia PRO-I」のカメラを試す 1型センサーの実力は? AQUOS R6やiPhone 13 Proとの比較も(1/3 ページ)
「Xperia PRO-I」が搭載する1型センサーは、ソニーのコンパクトデジカメと似た撮り心地だ。側面には物理シャッターボタンがあるし、独自アプリの「Photography Pro」を使えば「スマホっぽい写り」も「カメラっぽい写り」も思いのままだ。広角カメラをじっくり撮り比べた。
ソニーから登場する1型センサー搭載のハイエンドスマホ「Xperia PRO-I」(プロワンではなくプロアイ」)。今回、そのXperia PRO-Iをいち早く使う機会を得たのだが、まだ製品前のいくつか使用制限があるバージョンだったので、全機能のチェックは断念。その分、筆者もみなも一番知りたい「1型センサーを搭載した広角カメラ」に集中して試してみた。
せっかくなので、同じ1型センサー仲間の「AQUOS R6」とメジャーどころから「iPhone 13 Pro」も引っ張り出してみた。
1型センサーと1インチセンサー
最初にややこしい話を整理しておきたい。
まずはセンサーサイズ。ソニーのXperia PRO-Iのスペック表を見ると、センサーサイズは「1型」。シャープのAQUOS R6のスペック表を見るとセンサーサイズが「1インチ」。型とインチは同じか、というと、まったく同じだ。
もうずいぶん前、デジタルカメラ登場当初はセンサーサイズを「インチ表記」していた。だが、1999年頃から業界として「インチ表記」をやめ、「型」に統一したのだ。
大きな理由はインチは寸法の単位であること。日本では寸法の単位としてインチは使わない。さらにもっと大きな理由は、1インチは25.4mmなのであるが、イメージセンサーでいう「1インチ」は25.4mmよりずっと小さいのだ。
まあめんどくさいことなのだけど、イメージセンサー以前の時代、テレビカメラが使われた撮像管の直径に由来するのだ。直径1インチの撮像管があった場合、実際に撮像に使えるエリアはそれよりずっと少なくて、その時の比率をずっとひきずっているのである。
だから、1インチのセンサーでも実際の撮像エリアは対角線で15.8mmしかなく、1インチよりはるかに小さい。で、実情から離れているからカメラの世界では「1インチ」ではなく「1型」と呼びましょうってことになったのである。
スマートフォンの世界ではセンサーサイズを表すのに「インチ」を使うメーカーが多いけれども、ソニーはカメラメーカーでもあるので「1インチ」ではなく「1型」と称しているのだ。
Xperia PRO-IとAQUOS R6の違いは?
続いてセンサーサイズと画素数の話。
Xperia PRO-IとAQUOS R6のイメージセンサーはどちらも1型で、たぶん総画素数は同じ約2100万画素。アスペクト比は3:2。ではそれぞれの違いを見てみたい。
Xperia PRO-Iのレンズは35mm判換算で24mm相当。実焦点距離は6.64mm。F値はF2.0と4.0の切換式で、画素数は約1220万画素。
AQUOS R6のレンズは35mm判換算で19mm相当。実焦点距離は6.85mm。F値はF1.9。画素数は約2010万画素。
Xperia PRO-Iは約2100万画素のうち、中央部の約1220万画素相当部分だけを24mm相当のレンズで使っている。F値はF2.0と4.0の切換式だ。
AQUOS R6は約2100万画素のうち、約2010万画素を19mm相当のレンズで使っている。だからAQUOS R6の方が1型センサー全体を使っているのに対し、Xperia PRO-Iは中央部(約60%)しか使っていないと言われる。それはその通り。
でも考えてみたらAQUOS R6もちょっとアレなのである。AQUOS R6を起動したときの「1x」は「24mm相当」。カメラとしては19mm相当の超広角なのだけど、1x時はその「24mm相当分」のエリアだけを切り出し、2010万画素サイズに拡張して(つまりちょっとデジタルズームをかけて)使っている。
そこで両者の実焦点距離を見ると、Xperia PRO-Iが6.64mm、AQUOS R6は6.85mmなので、それほど大きな違いはなく、Xperi PRO-Iの24mm相当とAQUOS R6の24mm相当の差はそれほどないと思っていい。
1型センサーをどう使うか、で両者の違いが出ているのだ。
関連記事
- 「1型センサーの本家」が作るスマホ「Xperia PRO-I」の真価はどこにある?
ソニーが12月に発売する「Xperia PRO-I」に触れてみた。1型センサーを搭載したコンデジ「RX100」シリーズを生み出したソニーによる、いわば「本家本元」のスマホ。2段階切り替え式の絞りに業務用ビデオカメラをイメージしたアプリなど、インフルエンサーやビデオグラファー向けの機能を搭載している。 - iPhone 13シリーズの「シネマティックモード」が予想以上に面白かったのである
カメラ性能に引き続き、「iPhone 13」シリーズで新たに追加された「シネマティック」モードを使ってみる。これが予想以上に面白く、「ポートレート」モードと同様の仕組みで動画を撮影、しかも撮影後にフォーカスを変えられるというものなのだ。 - 「iPhone 13 Pro」のカメラは総合的にピカイチ 気になる「マクロ機能」や「フォトグラフスタイル」もチェック
新型iPhoneが出たらやること、それはカメラレビューだ。「iPhone 13 Pro」のカメラはデザインこそ「iPhone 12 Pro」を引き継いでいて変わり栄えしないように思えるが、センサーが変わっていたり、気になる機能が追加されていたりと、いろいろ遊べるのである。 - 夏のハイエンドスマホ4機種で撮り比べ(後編):人物や夜景の撮影に強いモデルは?
2021年夏に発売されたハイエンドスマホのカメラ機能を確かめる連載の後編だ。今回は「人を撮る機能」と「夜景」の撮り心地を確認する。どの端末も使い勝手の異なるカメラ機能を持ち、撮影した画像の色味もかなり違う。 - 夏のハイエンドスマホ4機種で撮り比べ(前編):超広角から望遠まで画質チェック
2021年の夏は、シャープとライカが協業して生まれた「Leitz Phone 1」や、ソニーの「Xperia 1 III」などのハイエンド端末が多く発売された。いずれも特徴的なカメラ機能を搭載しており、撮影時の画像の色味もさまざま。実際に同じ場所、同じ時間に撮影して比べてみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.