ソニー、個人向けローカル5Gサービスを来春提供 容量制限なしで月額5000円前後を予定:NURO Wireless 5G
ソニーワイヤレスコミュニケーションズが、ローカル5G事業に参入する。個人ユーザーの集合住宅向けインターネット接続サービス「NURO Wireless 5G」を、2022年春頃から提供する。専用のアンテナを設置することでエリア化して、エリア内の各住戸に5G通信サービスを提供する。
ソニーワイヤレスコミュニケーションズが、ローカル5G事業に参入する。個人ユーザーの集合住宅向けインターネット接続サービス「NURO Wireless 5G」を、2022年春頃から提供する。
NURO Wireless 5Gでは、専用のアンテナを設置することでエリア化して、エリア内の各住戸に5G通信サービスを提供する。これまで、ローカル5Gといえば、工場やオフィス、商業施設などをエリア化する産業・法人向けの事例がほとんどだったが、個人向けのサービスは珍しい。同社によると、ローカル5Gの商用免許で住宅向けの固定通信サービスを提供するのは日本初の取り組みとのこと。
ローカル5Gは、特定エリアで独自のネットワークを構築して提供するため、アクセス集中が発生しづらく安定した通信が可能だとしている。無線通信なので、固定回線では必要な工事は不要となり、ホームルーターを設置するだけで利用開始できる。容量制限も設けておらず、「いくら使っても料金は変わらない」という(※帯域を継続的かつ大量に占有した場合に通信を制限する場合あり)。7日間の無料期間も設定しており、満足のいく通信品質が得られないといった場合、7日以内に返却すれば料金は発生しない。
ソニーワイヤレスコミュニケーションズの渡辺潤社長によると、料金は光回線のNUROサービスと同等となる、月額5000円程度を想定しているとのこと。
ホームルーターの購入は不要で、ソニーワイヤレスコミュニケーションズ製のルーターをレンタルする形となる。有線LANポートは2.5GBASE-T1本と1000BASE-T3本を備えており、無線LANはIEEE802.11a/b/g/n/ac/axをサポートしている。
提供可能エリアは北海道、関東(東京、神奈川、埼玉、千葉)、東海(愛知、静岡)、関西(大阪、兵庫、奈良)、九州(福岡)の一部を予定しており、順次拡大していく。なお、上記エリア内でもアンテナを設置できない場合は利用できない。サービスの提供可否は「ユーザーから要望をいただいたら下見をして判断する」(渡辺氏)とのこと。
ソニーワイヤレスクコミュニケーションズは2021年1月14日にローカル5Gの実験試験用免許を、2021年9月29日に商用免許を取得している。その後、10月1日に東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府の一部エリアでNURO Wireless 5Gのプレサービスを無償で提供開始した。周波数帯は4.8〜4.9GHz帯を用いており、5Gのみでコアネットワークを形成するSA(スタンドアロン)方式でサービスを提供している。ミリ波の導入は検討中だとしている。
NURO Wireless 5Gは、5Gを活用した固定通信の代替サービスだが、同様のサービスは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信キャリアも提供している。ソニーワイヤレスコミュニケーションズがローカル5Gサービスを提供する意義について、渡辺氏は「リッチなコンテンツを体験できたり、安全な環境でIoTデバイスを利用したりといった、ユーザーのニーズに合わせて独自のネットワークを提供できること」だと説明する。
渡辺氏は「通信の品質に満足してもらえない人に使ってもらいたい」とも話す。それは、あえて新会社を設立したことにも関連する。グループ内には、「パブリックな通信事業として均等なサービスを提供する」ソニーネットワークコミュニケーションズもあるが、こちらは「通信としては土管に近い感覚」だと同氏。ソニーワイヤレスコミュニケーションズでは、エリアを限定して個別最適化されたサービスを目指して、あえて別会社とした。
ソニーグループ 常務 事業開発プラットフォーム担当の御供俊元氏は「ソニーグループのシナジーを生かした新たなエンターテインメントと体験の創出に取り組んでいく。クリエイターとユーザーをつなぐことが大事」と話しており、コンテンツを制作するクリエイターも、NURO Wireless 5Gのターゲットユーザーとしているようだ。渡辺氏は、このようにエンタメ領域との連携も視野に入れていることも、会社を分けた理由の1つだとした。
個人向けだけでなく、法人向けサービスについても検討していく。例えばソニーはテレビ局と連携して、5Gを利用したカメラの無線化にも取り組んでいるが、このようなグループ内の連携を生かしたサービスも提供していく。「ビジネスをやっているお客さんが、自身のエリアの中で、パブリックじゃないものを提供したいというお話があれば、一緒に取り組んでいきたい」(渡辺氏)
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