約2km圏内でライドシェア――WILLERの「mobi」がKDDIとの合弁事業に移行 全国展開を目指す:1回300円から
WILLERが全国3カ所で展開しているライドシェアサービス「mobi(モビ)」が、2022年1月からKDDIとの合弁体制で提供されることになった。同年4月には、WILLERとKDDIが共同で設立する新会社にサービスを移管し、さらなるエリア拡大を目指すという。
WILLERとKDDIは12月22日、WILLERが提供しているライドシェア(シェアリングモビリティ)サービス「mobi(モビ)」について、2022年1月から両社による合弁事業に移行することを発表した。同年4月にはWILLERの連結子会社として合弁会社「Community Mobility」を設立し、WILLERからmobiの事業を移管した上で全国展開を進めるという。
mobiの概要
mobiはスマートフォンアプリ(Android版/iOS)または電話で呼び出して使えるライドシェアサービスで、以下のプランが用意されている。
- 30日間定額プラン:5000円(税込み、以下同)
- 同居家族6人まで定額利用可能
- 6人を超える場合は1人当たり500円で追加登録可能
- 初回申し込みから14日間は無料
- 1回乗車プラン(都度課金、1人当たり)
- 大人300円
- 小学生以下150円
2021年12月現在、サービスは以下のエリアで提供されている。いずれも「中心街区からおおむね半径2km以内」としており、気軽な日常の足としての利用を想定しているという。
- 東京都渋谷区
- 名古屋市千種区
- 京都府京丹後市
- 東京都豊島区(2022年サービス開始予定)
なぜ「WILLER単独」から「KDDIとの合弁」に?
先述の通り、元々mobiはWILLERが単独で立ち上げた事業だ。KDDIはなぜ、それに参画し合弁化するのだろうか。
KDDIは昨今、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」というメッセージのもと、5Gエリアの拡大や災害対策の取り組みを積極的にアピールしている。東京特別区やその近郊に住んでいる人なら、山手線の駅に駅ごとに異なるメッセージ広告を見かけたこともあるかもしれない。
今回、mobiを合弁化するのは、この取り組みの延長線上にある。新型コロナウイルスの広がりを受けて、ここ1〜2年はテレワークが広がり、旅行を自粛する動きも見られる。距離を問わず移動する機会が減っていることは“確か”ではあるものの、移動自体がなくなることはない。だからこそ、KDDIは「(通信的な意味で)『つなぐ』仕事をしている会社だからこそ、移動する人を『つなぐ』ためにできることがあるはず」(KDDI 高橋誠社長)と考え、今回の取り組みを進めることにしたようだ。
一方、WILLERは、その名を知られるきっかけとなったツアーバス事業(WILLER EXPRESS、後に事業形態を「高速路線バス」に変更)を足がかりとして、現在では複数の交通サービスを手がけている。mobiは新たな交通サービスとして2021年6月12日に発表されたものだ
mobiは、WILLERが提案し、KDDIと共同設立する合弁会社の名前の由来にもなった「Community Mobility(コミュニティモビリティ)」を担うサービスである。最近は高齢化が進み、都市部でも地方でも比較的近距離の移動でも困難を来す人が増えている。その移動を「おおむね半径2km圏内」をカバーするmobiでカバーしようという考えだ。
「たった2km?」と思うかもしれないが、その「2km」内には、ローカル鉄道やタクシー、バスといった「市内交通」へ乗り換えられるポイントが用意されている。市内交通に乗ってある程度移動すれば、高速バス、鉄道や飛行機といった「都市間交通」にもアクセスできる。要するにさまざまな距離を移動する足がかりとして、これからの時代は生活圏内(短距離)に特化した交通は欠かせないということである。
今回、mobiをKDDIとの合弁事業とする背景には、自社が持つマーケティングシステムや交通事業者としての知見を生かしつつ、KDDIの持つ地方公共団体とのつながりやデータの利活用に関する知見を生かす狙いがある。端的にいえば事業エリアを迅速に拡大するためのパートナーとしてKDDIと一緒に取り組むことにしたようだ。
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