NTTドコモは2022年夏に5G SAをコンシューマー向けに展開――4G周波数転用は「トラフィック多く、導入時期は検討中」:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモが法人向けに5G NRの「スタンドアロン(SA)構成ネットワーク」を使ったサービスを提供し始めた。個人向けへの提供は2022年夏を予定しているが、SA構成における通信品質を担保するにはLTE(4G)ネットワークの5G NRへの転用が避けられないが、簡単には進められない可能性もある。
12月13日、NTTドコモはネットワークに関する説明会を開催した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年12月18日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
NTTドコモのネットワークで現在、話題となっているのが「パケ止まり」だ。5Gエリアにおいて、データ通信が流れなくなる状態を指す。原因としてはエリアの端など、5G電波の品質が悪い場所で速度が低下する、あるいは通信が止まるといった状況が発生している。
NTTドコモでは「5G通信中に4Gにも通信を流しやすくする」「通信開始時に5G電波品質が悪いと4Gを使用する」「端末に割り当てる電波の周波数幅を最適化し、上りの電波を届きやすくする」といった3つのチューニングを実施。これにより、5G接続成功率は10%向上、5Gデータ流量が30%増加したという。
もうひとつ注目なのが5G SA(Stand Alone)の開始だ。NTTドコモでは12月13日より、法人向けにサービスを開始したという。これにより、下り1.7Gbps、上り143Mbpsでの通信が可能となる。今後、時期は未定だが、ネットワークスライシングの導入も予定する。
さらに2022年夏には、一般ユーザーにも提供され、それに合わせて対応のスマートフォンも登場するという。
ここで気になるのがエリア展開だ。「パケ止まり」にしても、5Gエリアの端が存在するからこそ、5G電波の品質が悪くなり、パケ止まりが発生するという状況になっている。5Gエリアが広がり、「エリアの端」がなくなれば、パケ止まりする場所は消滅していくはずだ。
NTTドコモでは「瞬速5G」として、現在は新規に与えられた周波数帯でしか5Gサービスを提供していない。一方で、KDDIやソフトバンクは4Gに割り当てられている周波数帯を5Gに転用してサービスエリアを拡大している。
5G SAを展開する上でも、4G転用してエリアを拡大した方が、ユーザーのメリットも大きいはずだ。NTTドコモの4G転用は、2020年10月末の決算説明会で、吉澤和弘社長(当時)が「ドコモはLTEを5Gに転用しないなんて一度も言っていない。時期の問題だ。転用開始はおそらく2021年度の後半になるだろう。いまはLTEのユーザーが多く、転用しても本来の5Gの速度が出ないことは明らかだ」としていた。
すでに2021年度後半であるため、確認の意味を込めて、説明会の質疑応答で「NTTドコモの4G転用は現状、どうなっているのか」を聞いてみた。すると「導入時期は検討中」とのことであった。やはりLTEユーザーが多いため、影響を見定めている状態なのだという。
NTTドコモの足下を見れば、Xperia Ace IIが馬鹿売れの状態だ。いまさら、4Gスマートフォンを1円でばら撒けばいつまだ経ってもLTEユーザーが減ることはない。総務省の割引規制が、5Gスマートフォンではなく4Gスマートフォンの普及を加速させ、結果として、日本のトップキャリアの5Gエリア展開の足を引っ張っていることにつながっている。
やはり、こうしたところから、日本の5Gは世界から取り残されることになるのだろう。
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