「iPad Air(第5世代)」はiPad Pro並みに性能が向上したが、悩ましいデバイスだ:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
M1チップを搭載した第5世代のiPad Airが、3月18日に発売された。第4世代でフルモデルチェンジを果たし、iPad Proの流れをくんだボディーを採用したiPad Airだが、第5世代はその流れを踏襲。使ってみて分かったのは、最大のライバルが11型のiPad Proだということだ。
M1チップを搭載した第5世代のiPad Airが、3月18日に発売された。第4世代でフルモデルチェンジを果たし、iPad Proの流れをくんだボディーを採用したiPad Airだが、第5世代はその流れを踏襲。プロセッサの刷新で処理能力を高めつつ、新たに5Gにも対応した。デザインを踏襲しながら、中身を大きく変えたという点では、同時に発売された第3世代のiPhone SEに近い製品といえる。
そんな新しいiPad Airを、発売に先立ち試用することができた。使ってみて分かったのは、最大のライバルが11型のiPad Proだということだ。2機種は、処理能力やサイズ感、重量も近く、以前よりも差が埋まりつつある印象だ。円安が進む為替相場も相まって、iPad ProとiPad Airの立ち位置が接近しつつあることがうかがえた。
iPad Proとほぼ同じ処理能力で、アプリの動きはサクサク
新しいiPad Air……といっても、デザインは第4世代を踏襲しているため、目新しさはないかもしれない。カラーリングは若干変更になったが、バリエーションが5色と多く、選ぶ楽しみがあるところや、iPad Proのような全面がディスプレイのボディーは健在だ。10.9型というディスプレイのサイズも、第4世代から受け継がれている。
11型のiPad Proと比較すると0.1型小さいが、じっくり見比べても違いは分からないレベル。ただし、ベゼルの幅がiPad Proより太いところは、気付きやすいポイントだ。タブレットの場合、画面の端を持つことが多いため、iPad Proのような狭額縁設計より、ある程度ベゼルがあった方がいいという向きもあるはずだ。Touch IDを統合したトップボタンを採用しているのも、iPad Airならではの特徴だ。
見た目はほとんど変わっていないiPad Airだが、第4世代から中身は刷新。iPad Proと同じM1チップを搭載し、PC並みの処理能力を手に入れた。実際、iPad AirでLightroomを使って100枚の写真に一括で処理をかけてみたが、わずか27秒で処理が終わった。4K程度の解像度であれば、動画の編集もスムーズにできる。ベンチマークアプリで計測したスコアも、その性能の高さを裏付けている。
「Geekbench 5」で計測したCPUのシングルスコアは1705、マルチコアスコアは7256で、数値はほぼ11型のiPad Proと同じ。GPUも同様で、Metalスコアは20398をたたき出した。同じプロセッサを搭載しているため、スコアが近くなるのは当然と言えば当然だが、こと処理能力に関してはiPad Pro並みの性能を持った端末と評価することができそうだ。
5G対応も第4世代までのiPad Airとの違いで、スペック的にiPad Proに並んだ点だ。iPhoneとは異なり、iPadのモバイルデータ通信はあくまでオプションの1つではあるが、常時通信の恩恵は大きい。バックグラウンドで通信でき、画面を点灯させてすぐに使い始められるからだ。その速度が、5G対応で一気に向上した。実際、エリア内で速度を測ると、4Gまでの端末とはケタ違いの速度が出る。
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