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ソニーのワイヤレスインターネット「NURO Wireless 5G」が始動 大手キャリアの5Gホームルーターと何が違う?5分で知るモバイルデータ通信活用術(1/2 ページ)

ソニーネットワークコミュニケーションズが、ローカル5Gを活用したホームインターネットサービス「NURO Wireless 5G」の提供を開始しました。大手キャリアの5G対応ホームインターネットサービスとは何が違うのか、分かっていることをもとに解説します。

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 ソニーワイヤレスコミュニケーションズ(SWC)が2021年10月からプレサービスとして提供してきたワイヤレスインターネットサービス「NURO Wireless 5G」が、2022年4月1日から正式なサービスとして提供されることになりました。

 NURO Wireless 5Gでは、自社製の5Gワイヤレスホームルーター(CPE)を使って通信を行います。そのため、一見すると大手キャリアが2021年までに提供を開始した5G/LTE(4G)回線を使ったワイヤレスインターネットサービスと同種のサービスに見えますが、細かい所を見ていくと「似て非なるサービス」であることが分かります。

 今回の「5分で知るモバイルデータ通信活用術」では、NURO Wireless 5Gについて詳しくチェックしていきます。なお、この記事中の通信速度は、特記のない限り理論値です。

ルーター
NURO Wireless 5Gで使われるCPE

プランは1種類のみ 定期契約はなし

 NURO Wireless 5Gは集合住宅での利用を想定したサービスで、プランは月額4950円(税込み)の「STD(スタンダード)プラン」の1本のみとなります。CPEはレンタル提供ですが、レンタル料金は月額料金に含まれているので追加の支払いは不要です。初月には事務手数料として3300円がかかりますが、工事費は不要です。

 定期契約や契約解除料の設定はありません。利用開始日から7日間は「試用期間」という扱いで、サービスに納得できない場合はこの期間内に解約すると支払いなしで解約可能です。

概要
NURO Wireless 5Gは「縛り」がなく、いつでも解約可能です。利用開始日から7日以内なら事務手数料を含めて支払いなく解約可能です

 公衆ネットワーク(WAN)側の最大通信速度は下り(受信)が4.1Gbps、上り(送信)が2.6Gbpsと、下手な光インターネット回線より高速……なのですが、これはローカル5Gと無線LANを束ねて通信する「アグリゲーション」を利用した場合の数値です。これはあくまで“理論値”なので実際はここまで高速ではありませんが、一般的な5Gホームルーターよりも特に上りの速度は高速になりそうです。

 CPEのホームネットワーク(LAN)ポートは、無線LANがWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、有線LANが5GBASE-Tポート×1、1000BASE-T×3という構成です。5GBASE-Tポートに5GBASE-T対応のデバイスをつなげば、その通信速度を余す所なく利用できます。Wi-Fi 6の通信速度は最大2.4Gbpsです。

WAN側
NURO Wireless 5Gでは、ローカル5GとWi-Fiを併用することで下り最大4.1Gbps、上り最大2.6Gbpsという高速通信を実現しています

大手キャリアの5Gホームルーターとの違いは?

 NTTドコモは「home 5G」、au(KDDIと沖縄セルラー電話)は「ホームルータープラン 5G」、ソフトバンクは「SoftBank Air」と5G対応のワイヤレスホームインターネットサービスを提供しています。NURO Wireless 5Gを巡って気になるのが、これらの大手キャリアのワイヤレスホームインターネットサービスと何が違うのかという点です。

 複数の視点から違いを見ていきましょう。

サービスエリア

 大手キャリアの5G対応ワイヤレスホームインターネットサービスは、各キャリアの5G/LTEネットワークを利用して提供されます。モバイル通信を行うスマートフォンや携帯電話などとネットワークを共有しているため、設置場所の周辺でイベントなどが発生し、通信の混雑が起これば通信速度が低下する場合があります

 一方で、大手キャリアの通信サービスはエリアが広く、基本的には全国サービスというメリットがあります。5Gに強くこだわらなければ、LTEネットワークでも利用可能です。所定の手続きを行えば≪引っ越し(設置場所の移転)を行っても、そのままルーターを使い続けられます(※1)。

(※1)ソフトバンクの「SoftBank Air」は、SoftBank 5GやSoftBank 4G LTE/4Gのエリアであっても契約できない場合があります(例:高層住宅の11階以上に居住している場合)

ホームルーターの例
大手キャリアのワイヤレスホームルーターは、所定の手続きをすれば引っ越し先でもすぐに使えます(写真はNTTドコモの「home 5G HR01)

 それに対して、先ほどから何気なく触れてはいるのですが、NURO Wireless 5Gはローカル5Gと無線LANを用いた通信サービスです。言い換えると非常に“局所的”に提供されるサービスなのです。

 最近よく聞く「ローカル5G」は、語感からも察せる通り特定の場所や建物において、特定のユーザーが使うために整備される5G通信です。そしてNURO Wireless 5Gのようなサービスは、屋内(宅内)への通信の引き込みを無線で行う「FWA(Fixed Wireless Access)」、日本語にすると「固定無線アクセス」の一種となります。

 4月1日現在、NURO Wireless 5Gは以下の都道府県の一部でサービスを展開するとされていますが、詳細なエリアについては公表されていません

  • 北海道
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 埼玉県
  • 千葉県
  • 愛知県
  • 静岡県
  • 岐阜県
  • 三重県
  • 京都府
  • 大阪府
  • 兵庫県
  • 奈良県
  • 福岡県
  • 佐賀県

 サービスの申し込みはエリアを絞って投函(とうかん)されるチラシに書かれた問い合わせ先(代理店)への問い合わせか、Webサイトからのエントリーによって行えます。

 Webサイトからのエントリーの場合、その場で対象エリアの判定がなされます。利用する場所がエリア内である場合は、エントリーをすると約3営業日後にSNCまたは代理店から申し込みに関する連絡が行われます。「エリア外」と判定された場合も、エントリーをしておくとエリアに入った際に連絡が行われるようになっています。

 SNCによると、新規エリアの構築は地域におけるエントリー数も考慮に入れて行うとのことなので、提供の可能性を少しでも広げたいならエリア外判定でもエントリーすることをお勧めします。

×判定
編集者の自宅(東京都足立区)は残念ながら「×」判定だった。ただし、この場合でもエントリーをしておくとエリア化検討の際に参考とされるので、少しでも加入する気があるならエントリーしておくことをお勧めする
○判定
編集者の実家(静岡県長泉町)は「○」判定となる。この場合は申し込める可能性が高いが、エントリーは必要である
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