「スマホ不振、ソリューション好調」のHuaweiが繰り出す次の一手は?:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
Huaweiは2021年のアニュアルレポートを発表した。アメリカ政府の制裁の影響により事業全体が困難な道を歩んでいるが、18年ぶりの減収となりながらも利益は増加した結果になった。
HarmonyOSの搭載を検討するロシア企業
ロシアのウクライナ侵攻により各国が制裁を加えたことで、ロシアのスマートフォンメーカーBQがHarmonyOSの搭載を検討中との報道もされている。同社は家電も手掛けており同OSとの相性もよさそうだが、これだけではHuaweiのエコシステムがすぐに拡大するものにはならないだろう。
現在のHuaweiのコンシューマー向け製品の柱はPC、ウェアラブルなどになっており、日本でも4月の新学期に合わせてノートPCの新製品が多数投入された他、スマートウォッチやワイヤレスイヤフォン(TWS)も定期的に製品開発を進めている。スマートフォンは数カ月に1機種程度と新製品投入ペースは低く、過去モデルのマイナーチェンジにとどまってしまっている。しかし水面下では新技術の開発も進めていることだろう。2022年夏には「P60」(仮称)と呼ばれる新しいカメラフォンが出てくることに期待したいものだ。
2021年の利益は1137億元(約2兆1949円)で前年比76%増だった。この中にはコンシューマー事業「Honor」ブランドの売却益が含まれているかどうかは不明だ。
スマホカメラの性能の高さは健在
一方、HuaweiのサブブランドだったHonorはその後、独自にスマートフォンの開発を進めており、2022年1月には同社初となる折りたたみモデル「Honor V」を発売。2月にはカメラを強化した「Honor Magic4」シリーズを投入した。最上位モデル「Magic4 Ultimate」はカメラ性能の指標の1つであるDXOMarkでスマートフォン1位のスコアを記録しており、旧Huaweiからの開発力の高さを見せつけた。このMagic4 Ultimateに次ぐカメラ性能2位の製品は、2021年8月に発売されたHuaweiの「P50 Pro」である。Huaweiスマートフォンのカメラ性能の高さは今でも健在なのだ。
Huaweiの輪番会長、郭平(グオ・ピン)氏はDXや脱炭素への取り組みを進め、新しいビジネスの模索を進めるとした。例えば重慶の自動車メーカーSokonと提携したEVブランド「AITO」はHarmonyOSを搭載しており、インフォテイメントサービスや自律運転システムをHuaweiが開発。単なる自動車ではなく、MaaSやスマートシティーなどを見据えた次世代のモビリティーデバイスの開発を進めている。
スマートフォンの目立った新製品はなかなか出てこないかもしれないが、Huaweiは通信を中心とした研究開発の手を緩めてはいない。5Gの普及が本格化し、あらゆるものがつながる時代を迎えたことで、Huaweiの底力は侮れないものとなるだろう。
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