ワンプランで端末代1円 常識破りのMVNOサービス「一択モバイル」が誕生したワケ:MVNOに聞く(2/3 ページ)
携帯の料金プランが複数あるという常識を覆したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供する「一択モバイル」というサービスだ。選べる端末はモトローラの「moto e7」だけ、料金プランも3GBプランだけ。2月に新料金プランを導入した事情と合わせて、同社の戦略を聞いた。
狙い通り、40代にしっかり刺さった
―― 実際に始めてみて、反響はいかがでしたでしょうか。
森藤氏 3月1日に発表したあと、さまざまなところに(記事を)掲載していただけました。Yahoo!ニュースにも取り上げられました。通常でも、新料金プランを発表し、プレスリリースを出せば取り上げられることは多いのですが、今回はLIBMOのサイト内で告知したのと、PRTIMESにプレスリリースを投げ込んだだけです。
一択モバイルは、ブルーパドルの佐藤ねじさん(クリエイティブディレクター/プランナー)という方に企画からお願いしていましたが、佐藤さんに紹介してもらえたこともあり、反響は新料金プラン並みにありました。Webサイトでのメンションが大きく上昇し、SNSでもポジティブな投稿が多かったという報告をいただいています。こうした反響は狙い通りだったと言えます。
申し込み状況ですが、もともとのターゲットは40代で、利用者は契約者の子どもや親を想定していました。通常のLIBMOだと、40代は全体の30%強ですが、一択モバイルでは50%を超えています。狙い通り、40代にしっかり刺さったと考えています。
また、LIBMOは静岡の方が多いのですが、一択モバイルに関してはテレビCMをやっていないことや、広告自体をやっていないこともあり、静岡の方はほとんどいません。関西、九州、沖縄の比率が46%になります。ここに関西を加えると結構な数字になるので、これにはビックリしました。関東の方も38%になります。
―― そこだけで84%になるので、あとの地域は16%しかいないということですね。静岡も含めた東海地方のユーザーがほとんどいないのは驚きました。
森藤氏 一択モバイルのイメージが、TOKAIコミュニケーションズやLIBMOとひも付いていなかったのかもしれません。地域性とは関係なく選ばれている印象があります。
一択モバイルを主力にすることはない
―― 沖縄でMVNOというと思い当たる節が……いや、何でもないです。好評だった一択モバイルですが、これを主力していくということはありますか。
森藤氏 それはありません。一択モバイルはあくまで企画モノという位置付けで、LIBMOを母体にしています。その中で、スピンオフのように見せ方を絞ったものです。一見別ブランドのように見えるのも、企画としてとがらせたかったからです。
―― ahamoもドコモが母体ですが、料金プランとしては別ブランドです。
森藤氏 あそこまで大きくないので(笑)。ですから、別ブランドまではいかないと思います。
―― 3GBで入ったユーザーが、より上位のプランに変えるということもできるのでしょうか。御社としてはアップセルになると思いますが。
森藤氏 できます。3GBで足りない人は、8GBだったり20GBだったりに変えていただくことができますし、音声かけ放題にも入れます。あくまで入口が一択というだけです。
LIBMOが2月の料金プランを改定した狙い
―― そのLIBMOですが、2月に料金プランを改定しました。この狙いを教えてください。
牧野氏 MVNOを開始したのは2017年2月23日、「富士山の日」です。そこから昨年(2021年)の3月14日まで同じプランで進めてきましたが、21年3月15日に「なっとくプラン」を新たに導入しました。ラインアップを1GB、5GB、20GB、30GBに変え、その中で20GBと30GBの金額を大きく下げています。5GBと20GBの間を大きく開けて、5GBと20GBに集中しようと考えました。最安値と言い切ることはできませんが、最安値級の価格だったと思います。
その強化した部分はいじらず、なっとくプランの1GBを3GBに、5GBを8GBにしたのが2月の料金改定です。5GBは料金そのままで8GBにパワーアップさせていますし、1GBは980円から891円に値下げし、容量も3GBに上げて勝負することにしました。
また、音声かけ放題も充実させています。われわれはデータ通信のみのお客さまが多かったのですが、音声重視でいきたい。キャリアと同じ水準にしたいという思いがあり、5分かけ放題を500円で出しています。中継電話事業者を選択することで、5分、10分、完全かけ放題の3メニューを出しつつ、それらを500MBのデータ容量とセットにした「ゴーゴープラン」も投入しています。
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