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拙速なルール化ではなくガイドラインの策定を――総務省が携帯電話の「対応バンド」について議論の方針を示す(4/4 ページ)
携帯電話端末の「対応バンド」を巡って、総務省が有識者会議に対して議論の「方向性案」を示した。法令による義務化は見送る一方で、できるだけ多くのキャリアに対応できる端末作りを促すガイドラインを策定することになりそうだ。
法令による義務化は回避 「ガイドライン」の策定で決着か
過去の議論やアンケート結果を踏まえて、WGの事務局は携帯電話端末の対応バンドについて、以下の考え方を示した。
- 対応バンドをルール化/標準化することにはメリットとデメリットがある
- ユーザーの多くは、対応バンドによって起こり得る問題を認知していない
- よって携帯(電話)端末がどうあるべきかという議論が熟しているとはいえない
- 複数の端末メーカーから複数のキャリアに対応している端末はある程度出ている
- バンドについてルール化/標準化しないと解決できない問題は顕在化しているとはいえない
- 当面の間はメーカーの自主性を尊重しつつ、可能な範囲で複数キャリアで使える端末の開発/製造を促すガイドラインを作るのが適当
- 利用者が対応バンドに関する情報を得やすくすることは、メーカーの対応を促す上で重要
- キャリアや端末メーカーを交えて分かりやすい情報提供方法を検討し、ガイドラインを整備するべき
- 取り組みの状況や市場動向によっては、改めてバンドに関するルールや標準を定める検討を行うべき
対応バンドについて、今回はルール(義務)化が見送られる。その代わり、可能な範囲でマルチキャリア対応を促すガイドラインを策定する方向で議論が進めつつ、対応バンドについて分かりやすく周知する方法の検討も行われることになった。慌ててルール化する必要はないという判断だ。
筆者個人としては、キャリアの独自アカウントでログインしないとキャリア独自アプリを更新できない問題など、バンド以外にもある「可用性の障壁」にも目を向けてほしいと思う。
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