モトローラが方針転換「おサイフ対応SIMフリースマホ」投入の背景は?(3/3 ページ)
モトローラは6月3日、割安なフラグシップモデル「motorola edge 30 PRO」と日本市場に特化した「moto g52j 5G」の2モデルを発売する。新モデルの投入の狙いを松原丈太社長が語った
“モトローラを象徴する端末”としてのmotorola edge 30 PRO
6月3日発売のもう1つのモデル、motorola edge 30 PROは、2022年夏時点で最上位のプロセッサであるSnapdragon 8 Gen 1を搭載したフラグシップモデルだ。価格は12GB/256GBモデルが8万9800円(税込み、以下同)で、8GB/128GBモデルが8万6800円となっている。
Snapdragon 8 Gen 1搭載のスマートフォンとしては割安な価格ではあるものの、SIMロックフリースマホのボリュームゾーンを大きく上回る価格帯で、モトローラとしては折りたたみスマホの「razr 5G」を除くと最も高価格なフラグシップモデルとなっている。
motorola edge 30 PROは防水やおサイフケータイには非対応となっているものの、Snapdragon 8 Gen 1の搭載に加え、リフレッシュレート144Hzで滑らかに表示する有機ELディスプレイ、広角・超広角という2つのレンズで5000万画素センサーを搭載するトリプルカメラ、68Wの急速充電といった特徴を持つ。
松原社長はこのモデルについて「アメリカを生い立ちとしたブランドであるモトローラに日本のユーザーが期待しているのは、グローバルブランドならではのスケール感や、潤沢な研究開発コストを投入したフラグシップモデルだと考えている。edge 30 PROではこうした期待を背景に、日本メーカーとは異なる価値観を体現したハイエンドモデルを目指した」とコメントし、日本市場への投入により「moto g52j 5Gとは別の角度で現在のモトローラブランドのイメージを形作ることになる」という考えを示した。
ただし、「motorola edge30 PRO」の日本市場での発売までは紆余曲折もあったようだ。edge30 PROの日本向け発売は3月に発表されており、当初の発売予定は4月下旬となっていた。その後、2度の発売延期を経て、6月3日の発売にこぎ着けた経緯がある。
この背景には、昨今の半導体不足の影響がある。新型コロナウイルスの流行に端を発した半導体不足が深刻化している。また、特にSnapdragon 8 Gen 1のような最先端の半導体については、一部のチップベンダーによる供給が減少するなどの影響も受けている。加えて、国際情勢に起因する物流網の混乱なども影響し、さまざまな資材の調達が難しい状況となっている。こうした状況下において、安定した製品供給を行う耐性を整えるため、結果として発売延期を繰り返すことになったという。
なお、motorola edge30 PROの日本向けモデルは発表当初はメモリ12GB/ストレージ256GBモデルのみを投入が予告されていたが、6月3日の発売に当たりメモリ8GB/ストレージ128GBのバリエーションも追加されている。両モデルの価格差は3000円で、メモリ12GBの上位モデルの割安感が目立っている。
この価格設定については松原氏は「8GBモデルを追加投入するという経緯が影響している。3月末の日本向け発表から6月3日の発売までに、世界でさまざまな出来事が発生したため、調達に影響を及ぼしている。日本では特に、円安が進行した影響もある」と説明した。
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