装着するだけで健康に――Appleが「watchOS 9」を発表 ワークアウト機能を強化 服薬を促す機能も
Apple Watch用の「watchOS」に新バージョンが登場する。ワークアウト機能や心電図計測機能などにアップデートが施される他、服薬をスマートに促す新アプリも実装される。パブリックβ版は7月に、製品版は2022年秋にリリースされる予定だ。
Appleは6月6日(米国太平洋夏時間)、Apple Watch向けの新OS「watchOS 9」の概要を発表した。開発者向けのプレビュー版は同日から、パブリックβ版は7月中に配信される。製品版は2021年秋に登場する予定だ。
【訂正:11時】初出時、「心房細動」とすべき部分を「心室細動」と記載していました。おわびして訂正いたします
主な新機能/機能改善
watchOS 9の主な新機能や機能改善は以下の通り。
新しいウォッチフェイスの搭載
watchOS 9では、新しいウォッチフェイス(時計盤)として「Lunar」「Playtime」「Metropolitan」「Astronomy」が実装される
Lunarは太陽暦(グレゴリオ暦)と太陰暦の関係性にフォーカスした新しいウォッチフェイスだ。太陰暦は現在でも中国暦、イスラム暦、イスラム暦で使われているので、これらの暦を採用する国/地域で暮らす人にはなじみが深い
「ワークアウト」アプリのアップデート
ワークアウトアプリでは、主にトライアスロン選手の利用を想定したワークアウト「マルチスポーツ」が追加される。その名の通り、スイミング、サイクリング、ランニングをモーションセンサーで自動的に切り替わるようになっていることが特徴で、各ワークアウトが終わると結果の概要が表示されるようになっている。スイミングのワークアウトでは、キックボードの使用を自動的に認識する機能も追加された。
また、ワークアウトのパフォーマンスをより精密に計測できるための改善が施される。この改善は有能なアスリートから着想を得たものだという。加えて、デジタルクラウンを回すとワークアウトのセッションをより分かりやすく表示できるようになる他、自分でカスタマイズしたワークアウトを作成する機能も追加される。
モーションセンサーを活用してランニングのフォーム(姿勢)を評価する「ランニングフォーム指標」の表示機能も新規実装される。評価の履歴はフィットネスアプリの概要とヘルスケアアプリで表示できる。
心電図アプリの新機能(米国以外での展開は不明)
一部の国/地域において一部のApple Watchで利用できる心電図アプリにもアップデートがある。
米国において心房細動(AFib)と診断された場合、ユーザーは心電図アプリにおいて心房細動の履歴を取得できる機能を有効化できるようになる(22歳以上に限る)。心房細動の兆候が現われたおおまかな頻度や、その原因と思われる生活習慣関連因子をヘルスケアアプリから確認できるという。この情報はPDFをダウンロードすることで医師とも共有できるようになっている。
服薬アプリ
watchOSには「服薬アプリ」が新たに実装される。飲んでいる薬の情報と服薬スケジュールを事前に設定しておくと、服薬のリマインドをしてくれるようになる。薬やビタミン剤、サプリメントの管理も行える。
なお、このアプリはiOS 16にも追加される。
その他の新機能
その他、watchOSでは主に以下の新機能が実装される。
- 通知の改善(Watchの利用中には細く表示するように)
- Apple Watchのミラーリング(iPhoneから遠隔操作する機能)
- QWERTYキーボードが日本語を含む6言語に対応(Series 7のみ)
- Dockの改善
- カレンダーアプリの更新(新規イベントをWatchで直接作成可能に)
対応デバイス
watchOS 9は、iOS 16を搭載するiPhoneとペアリングした「Apple Watch Seires 4」以降のApple Watch(Apple Watch SEを含む)で利用できる。ただし、一部の新機能はモデル限定、あるいは国/地域限定で提供される場合があるので注意したい。
関連記事
- Appleが「watchOS 8」を発表 人気機能をブラッシュアップして2021年秋に登場
Apple Watch用の新OSが2021年秋にリリースされる。呼吸アプリが「マインドフルネスアプリ」としてリニューアルされる他、人気の機能を中心に機能改善が図られている。 - Appleが「watchOS 7」を2020年秋に公開 「睡眠記録」や「手洗い検知」に対応
Appleが、開発者向けイベントでApple Watchの新OSを発表。開発者向けプレビュー版を即日公開した。一般ユーザー向けには2020年秋に提供する見通しだ。 - Apple Watchで心肺機能の通知が受信可能に watchOS 7.2で
Appleが12月15日に配信した「iOS 14.3」と「watchOS 7.2」では、心肺機能が低下したときに、Apple Watch上で通知を受けられるようになる。心肺機能が低くなると、心臓病、高血圧、肥満などを患うリスクが高まるという。心電図機能はまだ日本では利用できない。 - iOS 14.5とwatchOS 7.4配信開始 マスクのままロック解除やトラッキング許可など盛りだくさん
Appleが「iOS 14.5」と「watchOS 7.4」をリリースした。これでマスクのままのロック解除機能や「AirTag」を探すなど多数の機能が使えるようになり、50件以上の脆弱性も修正される。 - 「iOS 16」発表 iPhoneのロック画面に「過去最大のアップデート」
米Appleは6月6日(現地時間)、開発者向けカンファレンス「WWDC22」にて、iPhone向けの新OS「iOS 16」を発表した。ロック画面を大幅に刷新。壁紙の人物に奥行きを与えたり、予定→天気のウィジェットを表示したりできる。最大6人のユーザーが写真を追加、編集できる「iCloud共有写真ライブラリ」も提供する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.