「Xperia 1 IV」が19万円台でも納得できる理由 実際に使って分かったこと(2/3 ページ)
ソニーのフラグシップスマートフォン「Xperia 1 IV」が、ドコモ、au、ソフトバンクから発売されたが、一括価格はいずれも19万円台。ネットでも「高い」という声が目立つが、価格に見合う価値があるのか。実際に購入して、カメラ、ゲーム、音楽などの面から検証した。
ソニーらしい機能が最大の付加価値
近年のスマートフォンはコモディティ化しており、どのメーカーも洗練された結果、似たりよったりの機能や外観のものが増えてきている。そんな中で独自路線を貫くスマートフォンがXperia 1シリーズだ。
静止画撮影のPhoto Proや、動画撮影のVideo ProやCinema Proというアプリは、オートでキレイに撮影できる点と同じくらい「マニュアル撮影のフィーリング」ともいえる部分に注力している。
筆者も数多くのスマートフォンを利用してきたが、Xperiaよりもキレイな写真や動画が撮れる機種は多く存在する。一方で「Xperiaほど撮影することが楽しいスマートフォン」は経験したことがないのだ。シャッターボタンの配置、半押しの固さ、押し心地、アプリのUIやチューニングといったところが絶妙で、とにかくシャッターを切る行為が楽しいのだ。
Xperia 1 IVのVideo Proではライブ配信も可能だ。スマートフォン向けの配信アプリは多く存在するが、Xperiaでは配信先のURLの指定が可能なので、配信プラットフォームを選ばない利点がある。レンズ間の色味の変化がほとんどないシームレスなズームや、撮影中に「意図的にフォーカスを外せる」機能は、他社のスマホにはないものだ。
外部モニターアプリの存在も近年のXperiaらしい機能だ。こちらはカメラなどの機器と接続し、接続した機器の画面をXperiaの高精細なモニターに出力ができるものだ。加えて、Xperia 1 IVではこのアプリからのライブストリーミングも可能になっており、ミラーレス一眼カメラなどで撮影した高画質な映像もリアルタイムで届けることができる。
ゲーミング性能は、Xperia 1 IIIのGame Enhancerをさらに拡張したものとなる。加えて、Xperia 1 IVではスマートフォン単独でのゲームのライブ配信も可能となった。別途機材やアプリの相性問題も気にしなくてもいい配信機能はうれしい限りだ。
配信機能の売りはプライバシーモードと簡易的なサムネイル画像の編集が可能な点だ。プライバシーモードは、配信中に万が一ホーム画面やSNSアプリに変遷してしまったときにダミー画面を自動表示するものだ。これによって個人情報の流出などの「事故」を防ぐことができる。
これらの機能のおかげで、安心してゲームを配信することが可能になる。配信中にチャット画面を表示する他、ゲーム中にもコメントがポップアップで表示される。コメントもこのポップアップの方が早く表示されることから、よりラグのない交流を楽しみたい方にもお勧めだ。
Xperia 1 IVはXperia 1 IIIに引き続きPUBG MOBILEの公式大会での競技端末としても採用されている。eSportsデバイスとして見た場合、格式のある大会で採用される端末というだけでも大きなアピールポイントだ。
Music Proも特筆すべき機能だ。プロモーションでは、アーティストがビルの屋上で収録という劣悪極まりない環境でも、Music Proを用いることで非常に高品質に収録されているというものだ。
筆者も試してみたが、本体マイクのノイズ処理がうまいためか、録音時でも聞ける程度の音にはなっていた。これにスタジオチューン処理をかけると、屋外の環境で録音したとは思えないくらいの仕上がりで出力される。これにトラック取込みでOFF Vocalの音源を加え、各トラックの音量調整をしたら「即席歌ってみた作品」が完成してしまうのだ。
この機能をソニーは「屋外での不意なインスピレーションを形にするもの」と説明しているが、筆者は「宅録環境に困っている方への助け舟」になると感じたくらいには優秀な処理だ。名前に「Music Pro」とあるが、この機能は実況動画や解説動画、Webラジオを始めとしたボイスコンテンツの収録にも大いに活用ができる。イヤフォンジャックに接続したヘッドフォンなどでセルフモニタリングも可能なので、スタジオさながらの感覚で収録が可能だ。
Xperia 1 IVは創作意欲を刺激するスマートフォン
Xperia 1 IVを使ってみて感じたことは、小さなインスピレーションをすぐさま何らかの形にできる、形にしたものを世に解き放つことができることだ。まさに創作意欲を刺激する体験を与えてくれるスマートフォンだと感じた。
創作活動に遅かれ早かれはない。思い立ったが吉日という言葉がある通り、ほんの今さっき「YouTube配信をやってみたい」「遊んでいるゲームを配信してみたい」「歌を披露したい」と衝動的に思うこともあるはずだ。それらの衝動的なインスピレーションにも、Xperia 1 IVはそれぞれVideo Pro、Game Enhancer、Music Proというアプリで応えてくれる。
このようなクリエイティブなことは「機材がない、手軽にはできない」という部分で障壁となってしまうが、この障壁をスマートフォンが打ち壊せるのなら、手軽さから「やってみよう」と思う人も出てくるはずだ。今まで日の目に当たることのなかったアイデアやコンテンツが世に出てくる可能性だってぐっと上がるのだ。
コンテンツを消費することが主体だったスマートフォンは、コンテンツを創り上げていくツールに変わろうとしている。
中でもXperia 1 IVはかなり「配信」に力を入れているものだと感じる。好きを極めた人に贈るスマートフォンは、「好きを楽しむ」から「自らの好きを発信し共有する」ものへ進化を遂げた。
ソニーセミコンダクタソリューションズがToFセンサーを利用したモーションキャプチャー技術を公開するなど、スマートフォンを利用した新たな創作価値を生み出そうとしている。次のXperiaでは「単独でバーチャルキャラクターを用いたライブ配信」が可能になるかもしれない。スマートフォンは成熟してきたとはいえ、このようなものを見せられると夢は広がるばかりだ。
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