ソニーと任天堂に触発されてスマホデザインを変革 英国発「Nothing Phone (1)」誕生の背景
7月13日(日本時間)、Nothing初のスマホ「Nothing Phone (1)」がついに正式発表となった。日本でも6万9800円(税込み)にてWebサイトを通じて販売される。本製品の誕生背景をカール・ペイCEOが語った。
7月13日(日本時間)、英ロンドンを拠点とするNothing初のスマホ「Nothing Phone (1)」がついに正式発表となった。日本でも6万9800円(税込み)にてWebサイトを通じて販売される。
透明パネル採用の背面に400を超える部品で構成されたメカニカルデザインを取り入れた本製品。その誕生背景をカール・ペイCEOが語った。
消費者は最新のプロダクトに無関心
同氏が最も強調するのはスマホのデザインだ。昨今、市場にはさまざまな製品が出回っているが、これを同氏は「インスピレーションを受けないようなプロダクトが最近増えている。次のプロダクトが待ちきれないといった期待感が最近のプロダクトにはない」と話す。さらに、「最近の消費者は最新のプロダクトに無関心である」と指摘している。
そのため、Nothingは業界で長年、経験を積んできたさまざまな会社から人を集めることで、「これまでとは違うアプローチでワクワクする面白いモノができるのではないか」と考えたという。
とはいえ、それを実現するまでが難題である。しかもスマホを初めて1から作るとなればなおさらだ。そこでプロダクトができあがるまでの過程で着目したのが日本市場だ。
同氏いわく、コンシューマーエレクトロニクスにおいて、日本は非常に経験豊富な市場であり、日本企業からさまざまなことを学べるという。
その内の1社がソニーだ。「ソニーは伝説的な会社。いくつものソニー製品が壁一面に並ぶギャラリーの写真に衝撃を受けた」とした上で、「この写真を見て2つのことが分かった」と同氏は続ける。「ソニーがデザインに非常に力を入れていること」「製品を見ればすぐにソニー製と分かること」を挙げた。
そこから得たヒントは「製品全てのデザインに一貫性を持たせること」。誰がどう見てもすぐにNothing製品だと気づいてもらえる、そんな世界観を目指したいという。
そしてもう1社、インスピレーションを受けた企業を名指しした。それは任天堂だ。任天堂が追求する“製品で遊ぶ楽しさ”や“エクスペリエンス”に共感し、人と人とをつなぐ製品でもあるとたたえる。
そんな同社初のスマホNothing Phone (1)も背面を見ると、USB Type-Cポートのすぐ上にゾウのようなシルエットがあることに気づく。Nothing Phone (1)はディスプレイを消灯させた状態で正面から見れば、市場に出回っている他のスマホと遜色ない形だが、背面は複雑なシステムをアートへと昇華させており、細かいパーツ全てを美しく見せている。
なぜNothing Phone (1)は日本上陸を果たしたのか
……と日本企業やそのデザイン思想をリスペクトしているようにも思えるが、実は日本はNothing製品の販売国には含まれていなかったそうだ。
ではなぜNothing Phone (1)が日本上陸を果たしたのか。その理由を同氏は「Nothingの第1弾プロダクトとして発売した完全ワイヤレスイヤフォンear (1)の発売後、予想以上に日本で多くの反響を得られたから」と話す。そしてもう1つの理由に「日本のトレンドが世界中へ発信される」ことを挙げる。
だが一方で、同氏は日本市場、世界市場の競争の激しさを懸念する。例えば、日本では既に半数以上の市場シェアをiPhoneが握っており、そこに真っ向から挑んで打ち勝った例はいまだかつてない。その現実を同氏はマインドシェア(消特定のブランド、企業が消費者の心の中で、どれくらい好ましい地位を得ているか)で言い表した。
「これはどの企業、製品、市場にも共通していえることだが、高いマインドシェアを獲得しているブランド、メーカーは限られている」(同氏)
さらに、「日本の消費者の要求は厳しいと捉えているし、われわれの製品が日本の消費者に受け入れてもらえれば、それ以外の市場でも歓迎してもらえるのではないかと考えている」と同氏。
そんな日本市場にNothing Phone (1)を投入した同社は、日本でのみローカルのSNS公式アカウントを開設。それやカスタマーサポートを通じて届くフィードバックを製品開発に取り入れていく考えも明らかにした。加えて、日本でのローカルチームの構築、カスタマーサポートインフラの整備を行っているとしており、日本市場に対する熱い思いを感じられる。
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