「Nothing Phone (1)」は画期的か、画一的か “明確な差別化”には疑問も
英Nothing Technologyが、同社初なるスマートフォン「Nothing Phone (1)」を、日本で8月に発売します。ソニーと任天堂にインスピレーションを得て、見ただけでNothing製品だと分かるデザインを目指したという同社の製品。ただ、画一的になっているという他のスマートフォンとの明確な差別化ができているのかというと、疑問が残ります。
英Nothing Technologyが、同社初なるスマートフォン「Nothing Phone (1)」を7月21日に海外で発売しました。日本でも8月に発売予定となっています。価格は8GB+256GBモデルが6万9800円。Nothing製品としては、2021年に発売したワイヤレスイヤフォン「ear (1)」に続く2製品目で、ear(1)と同じく透明なデザインが特徴となっています。
ロンドンに拠点を置くNothing Technologyは、中国OnePlusの共同創設者であるカール・ペイ氏が2020年10月に立ち上げたベンチャー企業。スマートフォンのリリースは、2020年の立ち上げ当初から念頭にあったとのことです。ソニーと任天堂にインスピレーションを得て、見ただけでNothing製品だと分かるデザインを目指したという同社の製品。そんなNothing初のスマートフォンは、確かに背面デザインを見れば、Nothing製品だということが分かります。透明なボディーで単に中身を見せるだけではなく、見える部品をもデザインすることで洗練した印象を与えています。
背面には独自のGlyph Interfaceという独自のライティングシステムを備えます。着信相手によって発光パターンを変えたり、充電時にバッテリー残量を表示したり、撮影時に被写体を照らすライト代わりに使ったりと、Nothing Phone (1)を特徴づけている機能です。
ただ、画一的になっているという他のスマートフォンとの明確な差別化ができているのかというと、疑問が残ります。確かにデザイン的には優れた製品でしょう。外観を見てすぐにNothing製品だと分かるという意味では、コンセプトの体現には成功しているともいえます。また、Nothingがメディア向けに公開した資料によると、Nothing Phone (1)では「視覚のズレを減らし、かつユーザー体験を向上させるために」4辺が同じ幅の画面デザインを採用。本体の角についても統一性を持たせており、これはAndroidスマートフォンでは初めての試みだとしています。
どことなく、BALMUDA Phoneのリリース時に話されていた「他のスマートフォンは画一的」「直接を一切使っていないスマートフォン」という話を思い出してしまいますが、本体デザインそのものに特徴があったBALUMA Phoneと比べ、Nothing Phone (1)は背面のデザインを除けば、他のスマートフォンと見分けが付きません。その背面についても、多くの人がケース・カバーの類を装着してしまうであろうことを考えると、画一的だとするAndroidスマートフォンの域を出ておらず、自分たちのデザインがいいものだと誇張するために、他のスマートフォンを下に見ているという印象も受けてしまいます。
とはいえ、Nothing Phone (1)は同社にとって最初のスマートフォンであり、実現したかったことの全てが詰め込まれているわけでもないでしょう。投資家にアピールするためにも、ある程度形になったものを早々に市場投入する必要があったとも考えられます。その意味では、真価が発揮されるのは次期製品以降となるのかもしれません。その登場を、Nothing Phone (1)が市場に受け入れられるのかどうかも含めて注目していきたいところです。
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