aiwaブランドが復活し、格安スマートフォンを投入――かつて、aiwaを買うか迷った40代が前のめりに:石川温のスマホ業界新聞
かつて“終息”したはずのaiwa(アイワ)ブランドがデジタル分野でも復活する――そう聞いて立ち上がるのは、恐らく40代以上の人が多いのではないだろうか。同ブランドのデジタル分野における利用権を得たJENESISは、法人向けにaiwaブランドを訴求していくようだが、うまく行くのだろうか?
JENESISは「aiwaデジタル」ブランドを立ち上げ、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチを発売する。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年8月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
JENESISはアイワから「aiwa」ブランドのデジタル分野における商標使用権を取得しており、今回のシリーズが第一弾商品となる。
そもそもaiwaといえば2008年にソニーのもとでブランドが終わったが、2017年にアイワの商標を取得した十和田オーディオによってブランドが復活。今回はJENESISNがデジタル分野で製品を投入した。
発売されるスマートフォン「JA2-SMP0601」は、6.5インチで、CPUはUNISOC T310クアッドコア、ディスプレイは720×1600、RAMは2GB、ストレージは32GB、バッテリーは4000mAhとなっている。OSは新興国などで展開されているAndroid 12(Go edition)だ。
発売記念価格は1万6800円となっている。
aiwaと聞いて前のめりになるのは40代ではないだろうか。筆者も学生時代、ヘッドホンステレオやCDラジカセなどが欲しかった際、「ソニーの製品には手が届かないが、aiwaやシャープなら買えるかも」と比較検討の対象になるブランドだった。
aiwaと聞いて、高級なブランドという印象は全くないため、今回出てきた製品に対しても「そんなモノか」という程度であり、冷静に見ることができる。
かつて、名の知れたPCブランドや体験価値を提供する家電ブランドのスマートフォンが出てきたときは、ブランドと製品のスペック、デザインの乖離が大きすぎて、アゴが外れたが、今回のaiwaスマホに関しては何の感情も抱かない。
むしろ、かつてのaiwaを連想させる「手に取りやすいスマートフォン」を体現しているのではないか。
ただ、やはりaiwaと聞いて「懐かしい」と感じるのは40代以上であり、そうしたユーザーが1万6800円のスマホを喜んで買うかといえば微妙だ。
「iPhoneは手が届かないからaiwaスマホを買う」という中・高校生のためのスマートフォンになるのであれば、aiwaブランドの認知をこれから上げていく必要があるだろう。
ただ、一方で、ゲームやYouTube、SNSで写真を上げまくりたい若者が満足できるスペックかといえば、かなり微妙だ。
ヘッドホンステレオやCDラジカセであれば「とりあえず音が聞ける」だけで充分だったかも知れないが、スマートフォンとなると「とりあえずネットにつなげる」だけではユーザーの満足感は得られない。
JENESISとしては法人向け市場を開拓したいようで、40代に名の知れたブランドが欲しかった感もある。aiwaスマホが法人に受け入れられれば、それを真似する企業も出てくるのではないか。
かつて、オーディオ全盛時代に名の知れたブランドだったが、いまでは続々と撤退していったものも多い。ひょっとすると、これから格安スマホのブランドとして復活するなんてことがあるのかも知れない。
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