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eSIM普及の起爆剤に? iOS 16の新機能「eSIM クイック転送」のインパクトと課題石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

iOS 16の新機能「eSIM クイック転送」を利用すると、新旧のiPhoneがiCloudかBluetoothでつながり、eSIMプロファイルが新しいiPhoneに移ってすぐ通信が可能になる。eSIM クイック転送はキャリアの対応が必要になり、現時点では利用できるキャリアはKDDIと楽天モバイルの2社にとどまっている。今後、この機能は広がっていくのか。

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eSIM クイック転送に挑戦! わずかな時間で移行が可能に

 筆者も、9月16日に購入した「iPhone 14 Pro」に、それまで利用していた「iPhone 13 Pro」からeSIMのプロファイルを移してみた。セットアップは、iPhone 13 Proから直接データを転送する形にしたが、アクティベートが終わると、iPhone 14 Pro側に「電話番号を転送」という画面が現われる。「電話番号を転送」をタップすると、eSIMプロファイルの移行が始まる。

eSIM クイック転送
左がiPhone 13 Pro、右が14 Pro。アクティベートが終わった後、SIMの移行が始まった

 この機能に対応した電話番号の一覧が表示されるので、転送したいものを選択。ここでは、まずauのeSIMを移すことにした。すると、iPhone 13 Pro側の画面が変わり、サイドボタンをダブルクリックするよう求められる。プロファイルの転送を承認するためだ。指示に従いダブルクリックをすると、転送が始まり、程なくしてiPhone 14側の画面に「モバイル通信設定完了」の画面が表示された。写真を撮りながらだったため、少々時間はかかったが、画面をタップしていくだけなら1分程度で済んだ作業だ。

eSIM クイック転送
転送可能な電話番号が表示される。ここでは、auを選択した
eSIM クイック転送
転送元(iPhone 13 Pro)側での承認が必要になる
eSIM クイック転送
しばらくすると、iPhone 14 Pro側でau回線が有効になった。ログインなどの手続きも不要で、非常に簡単だ

 ここで転送できるのは1回線だけなので、iPhoneにeSIMプロファイルを複数入れてDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)で利用している場合、アクティベート完了後にももう一度eSIMプロファイルの転送をする必要がある。「設定」アプリで「モバイル通信」を選び、「eSIMを追加」をタップし、「その他のオプション」を選ぶと、「モバイル通信を設定」という画面が現われる。ここでは「近くのiPhoneから転送」を選択した。

eSIM クイック転送
初期設定が終わった後でも、eSIMの転送は可能。新しい方の端末(iPhone 14 Pro)の「モバイル通信」設定を開き、「eSIMを追加」を選択。Bluetooth経由で転送する際には「その他のオプション」を選択すると、「近くのiPhoneから転送」のメニューが現われる

 Bluetooth経由で転送する場合、検証コードの入力が必要になった。機種変更後のiPhone(ここではiPhone 14 Pro)の画面に6桁の数字が表示されるので、それを機種変更前のiPhone(ここではiPhone 13 Pro)に入力する。最後に、アクティベーション時と同様、機種変更前のiPhoneで承認が求められるので、サイドボタンをダブルクリックする。これだけの手続きで、2つの回線がiPhone 14 Pro側に移った。

eSIM クイック転送
Bluetoothで転送する場合、検証コードの入力が必要になる

 auは「my au」アプリ上で、eSIMプロファイルの再発行ができるため、手動で操作してもそれほど時間を取られるわけではないが、povoはオペレーターとのチャットが必要になる。身分証明書を持った自撮りも必要になり、それが終わってもeSIMプロファイルが発行されるには時間がかかる。こうした手間を省き、数分でeSIMプロファイルを2回線ぶん移せたのは、非常に手軽だった。

 欲を言えば、アクティベーション時に2回線同時に移せるとさらに手順は少なくなる。2回線とは言わず、iPhoneに入れたeSIMプロファイルをまとめて転送できるようにしてほしい。店舗に足を運んだり、郵送を待ったりする必要がなく便利なeSIMだが、端末とのひも付けが強固なこともあり、機種変更には少々手間がかかっていた。eSIM クイック転送機能の登場したことで、物理SIMの使い勝手に一歩近づいた格好だ。

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