表にも裏にも曲がる「360度折り曲げディスプレイ」をTCLが開発中:山根康宏の海外モバイル探訪記
IFA 2022にて、TCLがスマートフォン向けの360度折り曲げ可能ディスプレイを参考出展していました。展示されていたディスプレイは実際に表示がされており、このまま基板などを入れればスマートフォンとして動作すると思われます。TCLは縦折りスマートフォンを開発していましたが、横折り式のスマートフォンも投入するかもしれません。
2022年9月頭にドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2022を取材しました。TCLブースには同社のディスプレイの開発・製造を行う子会社「CSOT(China Star)」の製品展示コーナーもあり、そこにスマートフォン向けの360度折り曲げ可能ディスプレイが参考出品されていました。
残念ながらCSOTの担当者はIFAに参加していないようで、このディスプレイも透明なアクリルケースの中に入って展示されていただけでした。実際に触って折り曲げてみたかったものの、担当者不在のためNG。曲げていない状態しか見られなかったものの、どのようなものなのかを見ることができただけでも収穫でした。
ディスプレイのスペック表があったので詳細を見てみると、サイズは8.01型で解像度は2480×1860ピクセル。アクティブペンに対応とのことで、どのようなペンかは分かりませんが、スタイラスによる手書き入力にも対応するようです。恐らくサムスンの「Galaxy Z Fold4」のように表面はUTG(Ultra Thing Glass)が貼られているのでしょう。またヒンジ部分の曲げたときの径は内折りがR1.5mm、外折りがR6.0mm。内側に折りたたんだときはヒンジ部分に1.5mmの隙間が開くことを意味します。全体の厚さは7mmに収められるとのことです。
展示されていたディスプレイは実際に表示がされており、このまま基板などを入れればスマートフォンとして動作すると思われます。右側から見ると確かに厚さは10mm以下。十分薄いことが分かります。ディスプレイの中央、ヒンジ部分には「筋」が見えますが、サムスン方式同様に隙間が開くため筋を付けて折り曲げる部分の強度を高めているのでしょう。ただしこのディスプレイは逆側、つまり外側に折り曲げることも可能です。
左側面には電源キーがあります。ただしこれはあくまでもレファレンスなので、このまま製品化されるわけではありません。
さて360度、つまり内側にも外側にも曲げられるディスプレイのヒンジ部分はどうなっているのでしょうか? 両方に曲がるために左右のベゼルとヒンジの部分には隙間が空いています。ヒンジ部分に丸い穴が2つ見えますが、それぞれに軸がある構造になっているのかもしれません。このヒンジ部分を見ると、実際にどのように曲がるのか、見てみたいものですね。なお、この構造からすると防水に対応させるのは難しいかもしれません。
裏側がうまく撮影できませんでしたが、ヒンジ部分はジャバラのような構造かもしれません。また外に折ったときにカメラが干渉しないように、カメラ部分の出っ張りは薄くなっています。そしてディスプレイをどちらの向きにも曲げられることから、カバーディスプレイは搭載されていません。
TCLは縦折りスマートフォンを開発していましたが、CSOTが両方向折り曲げ可能なディスプレイを開発したことで、横折り式のスマートフォンを出してくるかもしれません。実際の使い勝手はどうなのか、早期の製品化に期待したいものです。
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