HTC NIPPON児島社長に聞く“スマホ復活”の背景 VRグラスとセットで勝負、課題は?(3/3 ページ)
約4年ぶりとなるHTCのスマートフォン「HTC Desire 22 pro」が日本で発売された。おサイフケータイや防水・防塵(じん)といった日本仕様には対応しているものの、コストパフォーマンスが抜群に高い、というわけでもない。HTCならではの特徴は、同社が展開するVRグラスの「VIVE Flow」に最適化されているところにある。
VRデバイスとスマホをセットで販売しづらい悩み
―― 以前からVIVEを展開している量販店もあります。今回はスマホコーナーで販売されるのか、VRコーナーで販売されるのか、どちらなのでしょうか。
児島氏 そこが、それぞれの量販店で問題になるところです。HTCからの要望としては、セットで置いてほしい。かけるだけで、何もせずにコンテンツが流れるようなものも作っています。かけてみないと分からないですからね。ただ、なかなかこれをスマホコーナーで扱うのが……。他のVIVEはPCの付属品としてPCコーナーで見せているので、そこにスマホを置いた方がいいのかといったことがまだ決まり切っていません。
―― なるほど。VRコーナーというより、PCの周辺機器という位置付けだったんですね。そこにスマホを置くというのは、確かに難しそうです。
児島氏 そうなんです。長いことスマホを扱ってきましたが、ここまでいろいろなところでチャレンジになっている商品は初めてかもしれせん。
―― とはいえ、日本専用色もあり、おサイフケータイにも対応しています。これはかなりの台数を出さなければいけないのではないでしょうか。
児島氏 大変なことになっています(笑)。ユーザーは少なくなっていますが、HTCというブランドはモノ作りの会社です。そこはきちんとしていこうと考えています。
取材を終えて:インパクトは出せたが、販路が課題か
4年ぶりの復活を果たしたHTCだが、スマートフォン単体ではなく、同社が得意とするVRグラスとのセットで差別化を図っていく方針だ。確かに、コストパフォーマンスが高い端末や、カメラの性能がいい端末は他にも多数存在する。HTCならではの色を出すのであれば、やはりVIVEで培った技術やブランドを生かした方がいい。団子状態になりがちなミッドレンジモデルの中で、インパクトが出せたことは間違いない。
一方で、とがっているがゆえに販路の開拓には苦労していることもうかがえた。VRやメタバースがスマホほど広い層にまで浸透していないのも、ミッドレンジモデルを販売するうえでの不安要素といえる。HTCならではの取り組みが、どこまで受け入れられるのか。今後の動向にも、注目しておきたい。
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