約4万円の「AirPods Pro(第2世代)」は買いなのか? 1カ月使って分かった結論(2/3 ページ)
Appleが9月23日に発売した「AirPods Pro(第2世代)」を1カ月ほど使ってみた。同製品は従来モデルと比べると充電ケースが刷新されたほか、アクティブノイズキャンセリング(ANC)の改良や、内部設計の見直し、タッチ操作での音量調整対応など、改良されたポイントは多い。
ANCはどう変わったのか?
アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能――AirPods Proだと「ノイズキャンセリング」モードの実力については、言語化するのがなかなか難しい。「従来のAirPods Proは他社製のANC対応モデルと比べると劣っている部分があった」「第2世代のAirPods ProはANCがだいぶ改善された」などと言われても、やはり感覚的なものなのだ。実際に複数ブランドのハイエンド製品を使ってきた人でなければ、実像を理解するのは難しい。筆者もこのあたりの表現は苦手だ。
今回は、手元に第1世代と第2世代モデルの両方があったので、両者のANCを比較しながら、なるべくその体験の言語化に努めたい。検証できたシーンは以下の2つ。
- 皿洗いをしながら音楽を聴く
- ドライヤーの風量を最大にして髪を乾かしながら音楽を聴く
1つ目の皿洗いをしながら音楽を聴くに関しては、実は大した差を感じなかった。AirPods Proの第1世代はANCについてなんだかんだ言われがちだったものの、他社ハイエンドと比べなければかなり優秀なので当然の結果ではある。
一方、2つ目のドライヤーの風量を最大にして髪を乾かしている場面では、ANCによる騒音の低減のされ方に差が出た。第1世代では低音域はカットされているものの、高音域に近い中音域の音は一部残っていた。しかし、第2世代では、その中音域よりの騒音も聞こえなくなり、耳に残るのは高音域の部分だけに限定された。
つまり、水を流す音のような高音域を中心にしたノイズについては、ANCをオンにしていても、第1世代・第2世代問わずに聞こえる音が多いので、そこまで大きな差は感じなかった。一方、ドライヤーのような低音〜中音域を多く含んだ騒音については、第2世代のANCの方が中音域の範囲をカットできたため、差を感じた、といえる。
実際、第2世代のANCをオンにして、バスや地下鉄に乗ると、これまで以上にかなり静かな世界に没入できる。あまりに静かなので、音楽を聴かずにANCをオンのままにしていて、駅のホームでANCをオフにした途端に、「こんなに音が鳴っていたのか」と周囲の騒音に驚いたくらいだ。通勤・通学、飛行機内など、低〜中音域の騒音が多い環境において、サウンドを聴きたい場合には、第2世代の進化したANCはかなり心強いはずだ。高音域は若干聞こえるため、駅のアナウンスなどはギリギリ聞こえるようになっていることも、都合が良い。
1点補足しておくと、筆者としては第1世代のAirPods Proを使っていてANCに不満を感じたことはあまりなかった。一方、筆者の家族に第1世代を使ってもらったときには「電車の中だとポッドキャストの声が聞こえず、結局音量を大きくしなくてはならない」と不満を聞くこともあった。どんな音量で、何を、どのくらいの解像感で聴きたいのか、によってANCに対する評価は変わってくるものだ。
要するに、皿洗いをしながらエレクトロ・スウィングを聴くのか、通学電車で英語の子音を聞き分ける練習をしているのかで、捉え方は違う。そのため、第2世代のANCを使ったところで、人によっては「第1世代とそんなに変わらないかも」と感じる人もいるだろうし、「すごく良くなった」と思う人もいるかもしれない。
ちなみに、「外部音取り込みモード」への切り替えも従来モデルから踏襲されている。駅のホームや交差点など、安全を優先したい場面で、AirPodsをつけたままANCを素早くオフにしつつ、周りの音を自然に確認できることは安心だ。
なお、AirPods Pro(第2世代)では、「適応型環境音除去」という機能も追加されていて、あまりに大きな音が鳴る環境だと、AirPods Proが外部音取り込みをしながら耳のために環境音の音量が大きくなりすぎないよう下げてくれる。例えば、ライブ会場や工事現場など騒音が大きい場所で、勤める時間の長い人にはありがたい機能だ。同機能については、今回うまく検証できなかったので詳細は割愛するが、今後もし友人とカラオケにでも行って、音量が大きすぎて耳が痛いような場面があったら、ぜひ試してみたい。
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