5Gサービス加入者数が10億を突破 開始から3年たった中国5Gの現状:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
中国で5Gサービス開始から3年たった今、中国は世界最大の5G大国となった。中国の5Gサービスはコロナ禍でも着々とユーザー数を伸ばしていった。中国の家電量販店に行けば販売されるスマートフォンは大半が5Gモデルとなっており、中国では5Gは誰もが普通に目にする一般的なサービスとなった。
世界の5Gスマホは中国ブランドばかりになる?
スマートフォンメーカーも5G端末の海外展開で優位なポジションに立っている。中国国内での競争が激化していることもあり、前述したように低価格モデルでもSA方式に対応。今後5Gサービスが始まる新興国で、普及価格帯の5Gモデルを多数投入することでシェア強化を狙う。折しも2022年10月にはインドで5Gサービスが始まったが、地元インドメーカーから登場した5Gモデルはわずかしかない。それに対して、Xiaomiなど中国メーカーはサービス開始当初からインドの消費者でも手が届きそうな低価格な5Gスマートフォンを投入。国民機としての位置付けも狙えるだろう。
また「中国メーカー=低価格機が得意」という感覚はもはや過去のものだ。中国では折りたたみモデルや高画質カメラ搭載など最新技術を搭載した上位モデルも豊富に販売されている。Huaweiから分離したHONORのCEO、George Zhao氏は2022年9月にベルリンで開催されたIFA 2022のヨーロッパ向け新製品発表会の場でデュアル・フラグシップ戦略を発表。現在は中国のみで展開している折りたたみスマートフォンを次のモデルから国際市場に投入すると発表した。
折りたたみスマートフォンは、グローバルではほぼSamsungが1強という状況であり、Huaweiやモトローラの製品が一部国で販売されている。しかし中国国内ではHuaweiがシェアの半分を握っており、OPPO、Xiaomi、HONOR、vivoと大手メーカーが追いかけている。中国国内ではもはや各社の最上位モデルは折りたたみスマートフォンであり、カメラの性能が抜きんでて良くてもフラグシップとは呼べない状況だ。このように各社が競争し合い「性能・機能・デザイン・品質・仕上げ」が完成形に近づいている製品がこれからグローバルに出てくれば、SamsungやAppleもうかうかしていられない状況になる。
さて、2023年の大きなトレンドとなるであろうメタバースも、5Gのインフラが整備され端末も自在にある中国から新しいサービスが生まれてくるだろう。インターネットが始まったころ、ネット上の新しいサービスはユーザー数の多い国、すなわち米国から次々と生まれてきた。iモード時代は世界の最新のケータイサービスが次から次へと日本から登場したことは記憶に新しい。そしてiPhoneが世界を変えるとモバイル市場における米国企業の存在感は一気に高まった。だがメタバース時代には5Gを武器に中国発のサービスが一気に増えるかもしれない。
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