「Pixel 7/7 Pro」は日本市場の定番スマホになれる? iPhone 14シリーズと徹底比較して分かったこと(3/3 ページ)
2022年の円安ドル高のなかでも価格を抑え、Googleストアでは大幅割引を行ったGoogleの「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」。これらは日本市場の定番スマホとなれるのだろうか。そのラインアップや注目すべき点を「iPhone 14」シリーズと比較する。
Pixelは日本で定番ブランドになるか?
最後に、今後のPixelを占っていきたい。GoogleはPixel 6シリーズからPixel 6aを経てPixel 7シリーズへとデザインやコンセプトを一貫させながらも、製品としては機能強化や軽量化などで順当に進化してきた。また、独自プロセッサ「Tensor G2」を2023年発売予定の「Pixel Tablet」に搭載するなど、PixelシリーズのバリエーションやTensor搭載機器も増やしつつある。このままこのサイクルを回せば、日本のスマートフォン市場での存在感もより高められるだろう。
ただ、PixelはGoogleのショーケース的な端末だ。現時点では、世界市場トップのSamsungや好調なApple、中国のXiaomi、OPPOなどと積極的にシェアを争っているブランドではない。市場環境の変化に対し、自社で機能やサービスをコントロールできる製品を投入し続けることに意味がある製品といえる。
日本で今後Pixelシリーズが定着するかで一番重要なのは、ドコモが扱うかどうかだろう。ドコモが同シリーズを扱っていない理由の1つは、Pixelがドコモが5G Sub6のエリア構築で広く運用しているn79に対応していない点といえる。
もう1つは、総務省の規制による販売環境の変化によって、各キャリアとも販売するスマートフォンの機種を絞り込んでいる点だ。特にドコモのハイエンドモデルは、Xperia、Galaxy、AQUOSと他社と比べ取り扱いブランドや機種数が多い。市場全体で特にハイエンドの販売台数が減少する中、新ブランドや機種の取り扱いは慎重にならざるを得ないだろう。
また、ドコモのAndroidは“ドコモスマートフォン”としての専用UI(初期設定、ホーム画面、設定項目など)やアプリの搭載も重要だ。iPhoneほど売れる機種なら別だが、ほどほどの台数だとサポートの負担になりかねない。以前ドコモでも販売したGoogleのNexusシリーズと違い、Pixelはより広い層を対象にした機種だけになおさらだ。販路をオンラインやahamoに狭めるのも取り扱う意味が薄くなる。Pixelの取り扱いはそれが競争にどこまで影響を与えるのか、どのように売るかという両方の判断が必要だろう。
ドコモはXperia、Galaxy、AQUOSをハイエンドからエントリーまで取りそろえる。auはハイエンドに限るとXperiaとGalaxy、ソフトバンクはXperiaとAQUOSが中心で、ここにPixelが加わっている
Pixelは価格や性能に加え、Google開発の最新機能が魅力
ここまで、Pixelシリーズの価格や性能面での立ち位置と、iPhoneとの違いを比較してきた。Pixelの注目点はこれ以外にも、Googleが提供する翻訳や文字起こし対応のレコーダー、背景の人を消すといったAIも活用したソフトウェアの機能にある。これらは個別のレビューで紹介されているので確認して欲しい。
現在のPixelは、圧倒的高コスパのPixel 6aを皮切り日本市場で存在感を増しつつある。スマートフォン本体の高額化や物価高という流れの中、注目すべきブランドだ。GoogleストアのセールなどでPixelへの買い換えを考えている人にとって、この記事が判断の一助になれば幸いだ。
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