Apple、「iOS 16.3」配信 認証での物理セキュリティキー対応や「緊急SOS」発信操作変更など
AppleはiOS 16.3を含む一連のOSのアップデートを開始した。iOSでは13件の脆弱性対処の他、2要素認証での物理セキュリティキーのサポートなど新機能も追加。「緊急SOS」の発信方法も微調整した。
米Appleは1月23日(現地時間)、iOSとiPadOSの16.3、iOSとiPadOSの15.7.3、iOS 12.5.7、watchOS 9.3、macOS Ventura 13.2、macOS Big Sur 11.7.3、macOS Monterey 12.6.3、Safari 16.3の配信を開始した。
本稿ではiOS 16.3の新機能とセキュリティ修正について簡単に紹介する。
Apple IDの認証でセキュリティキーが使えるように
Apple IDの2要素認証で、初めて物理的なセキュリティキーを使えるようになる。対応するのは、 YubiKey などのFIDOアライアンスが認定するサードパーティ製セキュリティキーだ。
[設定]→ユーザー名→[パスワードとセキュリティ]の「パスワードとセキュリティ」の「2ファクタ認証」をオンにし、「セキュリティキーを追加」をタップして設定できる。
Appleは、この機能は一般向けというより「著名人、ジャーナリスト、政府関係者など、公開プロフィールが原因でオンラインアカウントに対する脅威に直面しているユーザー向け」だと説明している。
「緊急SOS」の操作変更
「緊急SOS」の発信方法が変わる。従来の方法では誤って意図しない通報をしてしまうことがあったため。サイドボタン(電源ボタン)と音量調節ボタンを「SOS緊急電話」スライドが表示されるまで長押しするところまでは従来通りだが、ボタンを離さないと緊急通報できなくなった。
Advanced Data Protection for iCloudの追加
米国ではiOS 16.2でサポートしていた「Advanced Data Protection for iCloud」をグローバルに追加した。
iCloudに保存しているデータの暗号化範囲を拡大する機能だ。これまで保護対象ではなかったバックアップ、メモ、写真など9カテゴリーのデータを新たに暗号化対象に追加する。データは暗号化され、信用できるデバイスでのみ復号できる。
その他の新機能や修正
- HomePod(第2世代)に対応
- 黒人歴史月間を記念して黒人の歴史と文化をたたえる新しいユニティの壁紙
- フリーボードで、Apple Pencilまたは指を使って描画した筆線が共有ボードに表示されないことがある問題を修正
- ロック画面の壁紙が真っ黒になることがある問題に対処
- 「iPhone 14 Pro Max」のスリープ解除中に横線が一時的に表示されることがある問題を修正
- 「ホーム」のロック画面ウィジェットにホームアプリの状況が正確に表示されない問題を修正
- Siriがミュージックのリクエストに正しく応答しないことがある問題に対処
- CarPlayのSiriへのリクエストが正しく認識されないことがある問題を解決
セキュリティ関連
セキュリティ関連では、13件の脆弱性に対処した。今回は「積極的に悪用された可能性のある」脆弱性はない。
関連記事
- スマートフォンの「アップデート」でやってはいけないこと
能追加や不具合・セキュリティ対応など、定期的に実施されているスマートフォンのアップデート。アップデート前にはデータのバックアップを行っておきましょう。一方でアップデート中に絶対にやってはいけないことは? - Apple、「iOS 16.2」「iPadOS 16.2」配信 カラオケアプリやステージマネージャの外部ディスプレイサポート
AppleはiPhoneやiPad、Macなどの今年最後とみられるアップデートを配信した。iPhoneとiPadではカラオケ機能「Apple Music Sing」が利用可能になる。共有ホワイトボード「フリーボード」も追加された。 - パスワードを使わない認証技術「FIDO」が進化 デバイスやOSを越えて利用可能に
フィッシング詐欺やパスワードリスト攻撃などに対抗する技術として、パスワードを使わない認証技術FIDOを推進するFIDOアライアンスが、普及に向けた取り組みを加速している。FIDOは、Webサービスのログインする際に、スマートフォンやPCの生体認証を使うための技術で、パスワードを置き換えることを目指している。現在、認証技術はFIDO2へと進化し、これを使ってWebサイトにログインするための「WebAuthn」技術が標準規格化されている。 - Apple、iMessageやiCloudの新たなセキュリティ機能を2023年に提供開始
Appleは、3つの新しいデータ保護機能を発表した。iMessageやiCloud関連のものと、Apple IDのログインでのハードウェアキー対応だ。日本でも2023年初頭に利用可能になる見込みだ。 - 「もしも」に備えて覚えておきたい iPhone「緊急SOS」の使い方
目の前がくらくらする、手元を見る余裕がない、などなど、110番や119番に連絡したいときにはダイヤルするのもままならないことがあります。そんなときのために、iOS11から「緊急SOS」という機能が追加されました。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.