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インタビュー

“ホリエモンのMVNO”誕生の舞台裏 あえてahamoより高く、今後も「○○モバイル」は増やすMVNOに聞く(2/3 ページ)

2014年にモバイル業界に参入したエックスモバイルが、事業家の堀江貴文氏との共同事業「HORIE MOBILE」をスタートさせた。HORIE MOBILEは、単に通信が使えるだけでなく、堀江氏が関わるさまざまなサービスをセットにしている。一方で、これまで“格安スマホ”と呼ばれていたMVNOの料金水準と比べると、やはり少々割高だ。

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芸能やスポーツなど、今後も“○○モバイル”は拡充する

―― 今お話しているところがあるということは、今後も○○モバイルは増えるということですか。どういう方向性の会社なり個人なりとタッグを組む予定ですか。

木野氏 例えば、まずあるのが芸能関係です。また、Jリーグのサガン鳥栖ともやります。アーティスト系の場合、会場でSIMカードをばらまいてもいい。あとは物販やアミューズメント系施設も考えています。DXmobileやHORIE MOBILEをやったのが勝因で、こういった問い合わせがめちゃくちゃ来るようになりました。これまでは僕らがコラボさせていただきたいと言っていましたが、逆に相手側からお声がけをいただけるようになりました。

HORIE MOBILE
サガン鳥栖とコラボした「SAGANTOS MOBILE」も提供中。月額2988円(税込み)で20GBのデータ通信と5分かけ放題が付く
HORIE MOBILE
ユーザー限定のイベントも用意する

―― DXmobileやHORIE MOBILEが呼び水になったということですね。その判断基準はありますか。

木野氏 僕らのリソースにも限界があるので、まずはそのジャンルのリーダー的なところにやっていただければと考えています。インフルエンサーであればDaiGoさん、ビジネス系であれば堀江さんがいるので、まずは1つずつ実績を作って水平展開をしていきたいと考えています。

―― 新しいブランドを追加した際も、料金プランはそれぞれ考えていくのでしょうか。

木野氏 はい。全てバラバラで、オリジナルです。例えばサガン鳥栖なら2717円(税別)ですが、17にしたのはファンの背番号だからです。堀江さんの場合も2755円(税別)ですが、755は刑務所にいたときの囚人番号(笑)。料金も特典も、全てオリジナルで作っています。

ahamoより高くて売れるならすごいこと

―― ちなみに、DXmobileや50GBで、HORIE MOBILEは20GBですが、容量が違うのはなぜですか。

木野氏 DXmobileはモバイルWi-Fiだからですが、それも一緒に考えています。例えばDaiGoさんだと、D-Labで動画配信をしている。50GBならそれを毎日1時間以上見ても、ギガが余ります。その余った容量で猫を救うということをやっています。

 また、(HORIE MOBILEの)20GBは、単純にはahamoやpovo、LINEMOがその容量だったからです。5分かけ放題が浸透していることもあり、なるべくそこに合わせるようにしました。特典内容にもよりますが、20GBで3500円といったものがあってもいいと思っています。

―― とはいえ、例えばHORIE MOBILEだと、純粋にデータ容量と金額だけを見るとahamoより高くなっています。少し安くしようという案はなかったのでしょうか。

木野氏 逆にahamoよりも高くて売れるなら、それってすごいことじゃないでしょうか。今までのMVNOは、僕も含めて「ahamoが出てきたからそれより下げなきゃ」「mineoがこうだから、いくらにしなきゃ」などとやっていました。お客さんを見ずに、そこばっかりやっていたんです。HORIE MOBILEも、当初はもっと違う料金だったのですが、記者会見の前日にこの価格にしました。これで反応がいいなら、僕らは勘違いしていたということです。大きな賭けではありましたが。

―― 結果もよかったということですね。

木野氏 言える数字だと、HORIE MOBILEは初日で500(契約)オーバーでした。今日も堀江さんと生配信をさせていただきましたが、ああいうことをするとまた伸びる。これから特典を少しずつ出していきますが、そういうものも小まめに発信していきます。SIMの価値を上げるものを発信することで、期待値を高めていければと考えています。

HORIE MOBILE効果でフランチャイズの問い合わせが殺到

―― 契約は店舗が多かったのでしょうか。

木野氏 ほとんどがネットですね。8割ぐらいです。ただ、店舗に行って話を聞きたいという方もかなりいるとみています。実際、店舗に来る方も増えていますからね。ネットで1契約でも、多分その裏に4人か5人ぐらいは興味のある方がいて、店舗に来られます。お店に来ても、2年契約の更新が次の5月だからとった理由で、いったん帰るようなこともあります。

 また、HORIE MOBILEを始めてから、フランチャイズの問い合わせも800件ほどありました。携帯電話に興味はあったものの、今さらドコモ、au、ソフトバンクのショップはやれない。でも、サブスク型の事業はやりたいという中小の方からお問い合わせが殺到しました。

―― 契約者を増やすだけじゃない、HORIE MOBILE効果があったということですね。

木野氏 今までは、X-mobileのショップスタッフが、これで大丈夫ですと説明しなければなりませんでした。ドコモ回線を使っている、X-mobileショップでサポートする、乗り換えもできる、この地域で使っている人は何人もいる。そういったことを1つ1つ説明していかなければなりませんでしたが、これが逆になりました。動画を見て、興味を持った人が自ら来るからです。ahamoやpovoからの乗り換えも多くなりました。楽天モバイルからの乗り換えも結構ありますね。

―― やはり、楽天モバイルも多いんですね。

木野氏 多いですね。これはHORIE MOBILEだからじゃないでしょうか(笑)。

―― もともと、堀江さんの動画でも結構批判したり茶化したりしていますしね。

木野氏 あれは、われわれとは関係ないですから(笑)。

―― DaiGoさんにしても、堀江さんにしても、レベニューシェアということならリスクは少ないと思います。ここも決め手になったのでしょうか。

木野氏 そうですね。毎月お金が入ってくる事業ですし、今でも10人中9人ぐらいは大手キャリアを使っています。十分な成長市場だと思われたのではないでしょうか。

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