折りたたみスマホ「Pixel Fold」は何が新しい? Galaxy Z Fold4との決定的な違い
Google初の折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」が、7月中旬に発売される。国内ではサムスン電子が「Galaxy Z Fold4」を投入している。最も大きな違いはディスプレイのアスペクト比にある。
Google初の折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」が、7月中旬に発売される。Googleストアでの価格(税込み、以下同)は25万3000円で、国内ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアも扱う。
Google初の折りたたみスマホということで気になっている人も多いと思うが、国内では他にサムスン電子が折りたたみスマホを投入している。Pixel Foldのライバルとなり得るのは、同じく横向きに開くGalaxy Z Foldシリーズ。最新モデルとして「Galaxy Z Fold4」が販売されているが、このGalaxy Z Fold4とは何が違うのか。スペックの差から分かることをまとめた。なお、今回はあくまでスペックのみを参考にしており、実際の使用感については、端末を入手できるようになってから別途記事化したい。
まずはサイズの違いを見ていこう。折りたたんだ状態のサイズは以下の通り。
- Pixel Fold……79.5(幅)×139.7(高さ)×12.1(奥行き)mm
- Galaxy Z Fold4……67.1(幅)×155.1(高さ)×14.2〜15.8(奥行き)mm
ご覧の通り、Galaxy Z Fold4の方が縦に長く、厚みもある。携帯性はPixel Foldの方が優れていそうだが、Pixel Foldの方がGalaxy Z Fold4より20g重い(283g)。
使用感に関わるところの最も大きな違いが、カバーディスプレイとインナーディスプレイのアスペクト比だ。カバーディスプレイのアスペクト比はPixel Foldが17.4:9、Galaxy Z Fold4が23:9なので、Galaxy Z Fold4の方が縦長になる。ちなみに、Pixel 7のアスペクト比は20:9なので、Pixel Foldのカバーディスプレイは、一般的なスマホよりも横長になる。
カバーディスプレイのサイズはPixel Foldが5.8型、Galaxy Z Fold4が6.2型だが、アスペクト比が異なるので単純比較が難しい。SNSのタイムラインやニュース記事など一覧性が求められる表示なら、Galaxy Z Fold4の方が使い勝手は良いだろう。横幅はPixel Foldの方がGalaxy Z Fold4よりも約12mmも太い。片手での持ちやすさもGalaxy Z Fold4に軍配が上がりそうだ。
インナーディスプレイのアスペクト比とサイズは、Pixel Foldが6:5の7.6型、Galaxy Z Fold4が5:6の7.6型。同じ画面サイズでも、縦横のアスペクト比が逆になっているのが興味深く、Pixel Foldは横長、Galaxy Z Fold4は縦長になる。
本のように開いて電子書籍を見開きで読む、4:3比率の写真を見る、といった使い方はPixel Foldの方が直観的だろう。Galaxy Z Fold4は90度回転させると4:3の表示に適したレイアウトになるが、Pixel Foldは回転せずそのまま開いて見開き表示がしやすくなる。
一方、電子書籍でも1ページのみを表示するなら、縦長のGalaxy Z Fold4の方が適している。Webブラウザを表示したり、マルチウィンドウで2分割した上でさらに片側をもう2分割したりするのも、縦に長いGalaxy Z Fold4の方が、より多くの情報を表示できるだろう。
同じ折りたたみスマホでいうと、7.1型でアスペクト比が9:8.4の「OPPO Find N2」(日本未発売)がPixel Foldに近い。この「横長」の画面をよしとするかどうかが、購入するかどうかの1つの判断基準になりそうだ。
この他、タスクバーを使ったアプリの切り替え、本体を好みの角度で開いて固定して使うモード、カバーディスプレイに被写体を映してアウトカメラでセルフィーを撮影することは、両機種でもできる(細かな使い勝手やアプリの対応は差があるかもしれないが)。また、Pixel Foldでは、YouTube、Meet、Keep、メッセージ、フォトなど、50以上のアプリが大画面向けに最適化されている。アプリの最適化については、Galaxy Z Fold4とどこまで差分があるのか、Galaxy Z Fold4にも適用されるのかは気になるところだ。
Pixel Foldならではの機能といえるのが、独自プロセッサ「Tensor G2」を活用したリアルタイム翻訳を拡張させた「デュアルスクリーン通訳モード」だ。この機能を活用すると、Pixel Foldを持って話した内容がインナーディスプレイに表示され、それを通訳した内容がカバーディスプレイにも表示される。このおかげでお互いに画面を見せ合う必要がなく、他言語同士でスムーズに会話ができるだろう。こうした折りたたみ機構を生かした独自機能が今後どれだけ追加されるのかにも注目したい。
本体の耐久性についてはどうか。IPX8の防水に対応しているのは両機種とも同じだが、防塵(じん)性能は備えていない。多相合金スチール構造を採用したPixel Foldのヒンジは、「現在販売されている折りたたみスマートフォンの中で最も高い」とGoogleはアピールするが、具体的な指標は公表していない。Galaxy Z Fold4は20万回の開閉に耐えられる強度を確保しているとサムスンが公表しているが、同じ条件でPixel Foldのヒンジが何回開閉できるのかは気になるところだ。
価格はPixel FoldとGalaxy Z Fold4ともに25万円前後で、気軽に買える金額ではない。ただ、Googleストアで販売するPixel Foldを予約購入すると、次回以降の買い物に使えるGoogleストア クレジット5万2000円分が進呈されるので、実質20万円程度になる。これにGoogleの下取りプログラムを追加すれば、下取り金額の分がさらに割り引かれる。3キャリアから購入する場合も、残価や残債の支払いが免除される購入プログラムを適用すれば、実質負担額はさらに安価になる。Googleやキャリアの施策をチェックしておこう。
これまで、折りたたみスマートフォンの選択肢はGalaxyしかなかったが、そこに新たなデバイスが加わることは歓迎すべきこと。同じ折りたたみでもユーザー体験がずいぶん異なりそうなPixel Foldの発売を待ちたい。
関連記事
- Google初の折りたたみスマホ「Pixel Fold」7月中旬発売、約25万円 薄型と耐久性に注力
Googleが、同社初の折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」を7月中旬に発売する。国内ではGoogleが直販サイトで販売する他、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアが取り扱う。2つの画面を生かした機能や、折りたたみ機構を生かした機能を豊富に備えている。 - Googleがお手頃スマホ「Pixel 7a」を発売 直販価格は6万2700円 ドコモも取り扱い
GoogleがPixelスマートフォンの廉価版(Aシリーズ)の新モデルを投入する。ベースモデルである「Pixel 7シリーズ」と同じプロセッサを採用しつつも、本体素材の変更などによって値段を大きく抑えたことが特徴だ。キャリアを通した販売では、NTTドコモでの扱いが“復活”することにも注目したい。 - OPPOの最新折りたたみスマホ「Find N2/N2 Flip」をじっくり試す Galaxyと比べてどう?
OPPOが2022年12月に海外で発売した折りたたみスマホ「OPPO Find N2」シリーズを使ってみた。折りたたむとコンパクトになり、高性能なプロセッサを使用しているため動作もヌルサク。快適に使える端末に仕上がっている。 - Galaxy Z Fold4は買いか? Z Fold3ユーザーが感じた“見た目では分からない進化”
筆者はGalaxy Z Fold3ユーザーだ。新モデル「Galaxy Z Fold4」にはどんな魅力があるのか。実機で確かめてみた。 - OPPO、第2世代の折りたたみスマホ「Find N2」発表 より軽く、薄く進化
OPPOが12月15日、折りたたみスマートフォンの新モデル「OPPO Find N2」を発表した。重量は先代の275gよりも42g軽い233g、奥行きは先代から1.3mm薄くなった。5000万画素の広角カメラは画像処理プロセッサ「MariSilicon X」を備える。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.