約20万円の「Xperia 1 V」は誰向けか Xperia 1 IVユーザーが感じた“進化と課題”(3/3 ページ)
ソニーのハイエンドモデル「Xperia 1 V」が2023年6月16日に発売された。Xperia 1 Vはメインの広角カメラに使うセンサーを大判化するとともに、2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサーの「Exmor T for mobile」を世界で初めて採用したのが大きなポイント。実機を借りたので、先代の「Xperia 1 IV」と比べて、何が違うのかをチェックしていく。
背面はザラっとした手触りに 側面はグリップ力が増す
続いてXperia 1 IVとXperia 1 Vの外観を比較していく。形はうり二つといってもいいが、背面や側面の仕上げが異なる。Xperia 1 Vの背面ガラスには凸形状のテクスチャーが施されており、ザラっとした手触りで、滑りづらく指紋が目立ちづらい。側面にはスリットがあり、こちらも背面同様、滑りどめの役割を果たしている。
このように、フラグシップのハイスペックを求める人の所有欲を満たすための工夫が随所に施されているのは、Xperia 1 Vが撮影体験を重視しているモデルだからだという。
一方でそれ以外は共通しており、電源ボタン(指紋センサー付き)、音量調整ボタン、シャッターボタン、3.5mmイヤフォンジャック、USB Type-C端子の位置は同じだ。
一方でXperia 1 IVが搭載する通知LEDはXperia 1 Vでは省かれている。通知LEDは着信中であること、電池残量が少ないこと、新着のメッセージ(SMS)の受信があること、新しい通知があることなどを示すもので、ディスプレイが点灯していない状態でも、Xperiaの状態を確認できるものだった。
通知LEDはスマホ黎明(れいめい)期から特に海外メーカーの端末で採用されにくい傾向が続き、その反対に細かい配慮を行き渡らせる日本メーカーが採用する例が多かった。通知LEDを搭載しないXperia 1 Vではスリープ中でも一部の通知などを確認できるアンビエント表示(Always-on display)を活用した方がよさそうだ。
nanoSIMとeSIMに対応 microSDにもしっかり対応
SIMはnanoSIMとeSIMに対応しており、昨今の通信障害に備えて、nanoSIMとは別の通信事業者のeSIMを設定しておき、有事の際に使うことが可能だ。日本ではnanoSIM、海外渡航時には現地のeSIMを設定し、使い分けることも可能となっており、いまどきの仕様となっている。
しかもnanoSIM1枚とmicroSD1枚を1つのトレイに装着できるため、nanoSIMを入れることでmicroSDがふさがる……といったことはない。
昨今のスマホはmicroSD対応をうたう機種が少なくなってきたが、Xperia 1 VではmicroSDXC(最大1TB)をサポート。内蔵ストレージが動画などで圧迫して足りなくなったら、microSDXCで空き容量を確保できるのはうれしいポイントといえる。
完成度が高いXperia 1 Vだからこそ、コンテンツありきかもしれない
Xperia 1 Vは広角カメラに使うセンサーを大判化や、ソニーのαカメラでおなじみの機能がてんこ盛りとなっている。前面(=コンテンツを見る側)にフルステージステレオスピーカーが備わり、いい音ときれいなディスプレイでコンテンツを視聴できる1台だ。
Xperia 1 Vの価格はキャリアモデルとオープン市場向けモデルを含め、19万4700円(税込み、以下同)から21万8680円と高価だ。Xperia 1 IVは発売当時、19万872円から19万9440円だったので、3828円から1万9240円ほど値上がりしたことになる。
それでもソニー モバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長の濱口努氏が「Xperia 1 Vは数あるソニー製品の中でも、初めて触れるソニー製品になる可能性が高い」と言うするだけあり、Xperia 1 IVと比べて完成度がさらにアップしているのが分かる。
一方でXperiaの製品開発のコンセプトとなる、「好きを極めたい人々に」というメッセージ性がXperia 1 Vだけで伝わるのかどうかは懐疑的だ。クリエイター向けとまでははっきりと宣伝されていないものの、中身はほぼクリエイターが好む機能で埋められている。裏を返せば、純粋にクリエイターではない人が楽しめる「何か」が欠けているようにも感じる。
何かというのがコンテンツだ。Appleの「iPhone×Apple Music」「iPhone×Apple TV+」というように、ユーザーに分かりやすい形で、Xperia 1 Vに付随する(21:9比率やフルステージステレオスピーカーなどに適したコンテンツ)サブスクサービスが増える、あるいはソニーとしてのはっきりとした提示があると、もっと好きを極めたい人に刺さるのではないかと感じた。
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