スマホメーカーの撤退が相次ぐ中、Orbic(オルビック)が日本市場に参入する理由 “キャリア品質”にも対応できる(2/3 ページ)
米国でシェアを伸ばしているOrbicが日本市場に参入する。日本法人の設立にあたり、代表に就任したのが、元モトローラ・モビリティ・ジャパンで社長を務めたダニー・アダモポウロス氏。参入当初はオープンマーケット中心の展開になるが、ゆくゆくは、大手キャリアへの納入も目指しているという。
スマートフォン「Fun+ 4G」を投入した理由はサイズ
―― タブレットは分かりやすいのですが、スマホに関してもう少し詳しく教えてください。
アダモポウロス氏 Fun+はFunファミリーのモデルで、われわれには大きく4つのモデルがあります。1つがFun、もう1つがFun+、あとはQ10とJoyですね。いずれも、米国ではプリペイドマーケットで大きなボリュームがあります。日本に何を持ってくるかを考えましたが、結論としては1つになりました。このプライス(市場想定価格:税込み2万4800円)では、とてもいいカメラが載っています。通常だとシングルカメラですが、Fun+はデュアルカメラです。
もう1つの理由はサイズですね。このぐらいの価格の端末は、6.5型だったり6.8型だったりと、大型のことが多い。一方で、Orbicはコンシューマーを理解しているので、日本では6.1型のサイズでちょうどいいと考えました。このサイズだと、長時間駆動のバッテリーとも両立します。
ちなみに、スマートフォンとタブレットは既に明らかになっているセグメントですが、今後はもっと幅広い製品を展開します。他のスマートフォンやタブレットはもちろんですが、ラップトップを日本で発売する可能性もあります。
島田氏 日本人は片手入力もするので、このサイズであることが必要でした。
―― そういった提案は島田さんから本国に出しているのでしょうか。
島田氏 そうですね。当然ですが、お客さまの意見も聞きます。大きいディスプレイの製品も出したいなとは思っていたのですが、最初の1台として出すのはちょっとつらいのではないかと考え、これになりました。
アダモポウロス氏 後は、IP54の防滴にも対応しています。
オーストラリア政府にタブレットを納入した際の故障率は0.03%以下
―― 当初はオープンマーケットからというお話でしたが、キャリア市場も前提での日本参入という理解でよろしいでしょうか。
アダモポウロス氏 日本のキャリアとはパートナーになりたいと考えていますし、議論をしているところです。
島田氏 キャリアやMVNOにも、いろいろなご要望がありますが、どんなことをしたいのかを聞いたうえで対応ができます。また、スマホ以外のデバイスも取り扱っているので、話に広がりがあります。ここは、米国で鍛えられているので、一日の長があるところだと考えています。
―― そういった、キャリアのニーズをくみ取るメーカーが続々といなくなってしまっています。これはOrbicにとって、チャンスなのでしょうか。
アダモポウロス氏 もちろんです。
―― ちなみに、これはモトローラ時代にもお聞きした質問ですが、FeliCaへの対応もしていくのでしょうか。
アダモポウロス氏 サポートすることに対してはオープンです。ただし、商業的に意味があればです。実装するためのコストはとても高い一方で、(コード決済やNFC決済の普及で)ユースケースは徐々に少なくなってもいますから。とはいえ、サポートすることに対しては、オープンなスタンスです。
―― 最初のお話で信頼性の高さということを挙げていましたが、ここはキャリアと組むうえでの強みになるとお考えですか。
アダモポウロス氏 品質はとても高いと思っています。例えばタブレットは、千台単位でオーストラリアの政府に納入され、選挙での投票に使われました。3月にあった選挙でも活用されています。ディスプレイの明るさから頑丈さ、セキュリティまで基準があり、最終的にベンダーとして選出されたのがOrbicでした。フルーツの名前の会社や韓国企業が競合でした。このようにたくさんのタブレットを出荷しまいたが、フィールドで故障したのはわずか30台、率にすると0.03%以下でした。
また、オーストラリアでは、Telstraに納入していますが、このキャリアは最大手で、日本で言えばドコモのようなものです。Telstraは、コールセンターにサポートの問い合わせがあったメーカーのリストを出しているのですが、われわれはゼロでした。最初、彼らは「この報告者は間違ってる」と言ったぐらいです。ですが、そうではありませんでした。強調したのは、これは何万台も売った上での数字ということです。
―― 経済安全保障の観点から、そういった端末を国内メーカーに発注する動きもあります。一方で、御社は中国・深センにも拠点があります。
島田氏 Orbicには別のサプライチェーンもあり、工場はインドにあります。他のサプライチェーンを使うことで、要求には対応できます。
アダモポウロス氏 今、インドを増強しているところですね。
島田氏 CEOのマイクがインド出身なので、その人脈であたりをつけて拡大しています。
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