モトローラがあえてスペックダウンした「moto g53j 5G」を投入するワケ moto g52j 5Gとは“全くの別物”(2/2 ページ)
モトローラが日本市場向けのスマートフォン「moto g53j 5G」と「moto g53y 5G」を投入する。1年前の「moto g52j 5G」の後継機かと思いきや、違うという。g53シリーズはどのような位置付けなのか。ハイエンドモデルの日本投入はあるのか。
コスパ重視のedge、体験重視のrazrにも力を入れていく
―― moto g52y 5Gですが、ソフトバンクから端末を出すのは久々ですね。
松原氏 「razr 5G」が2年前にありましたが、あれはプレミアムモデルでした。その意味だと、ビジネスインパクト的には今回の方が大きいと思っています。
―― razrといえば、海外で発表された「razr 40 Ultra」はカバーディスプレイがかなり大きく、閉じたまま使えるというのが斬新でした。
松原氏 モトローラとして、一番下に「g」があり、その上に「edge」があるのは変わっていませんが、「edge」の中に性能を突き詰めたものがあり、そちらの価格は10万円を超えていました。その考え方が、今は少し変わっています。10万を超えてしまうと、いくら性能が高くて、RAM(メモリ)、ROM(ストレージ)が大きくてもなかなか納得してもらえない。今後はedgeシリーズをもっとお求めやすい価格でパフォーマンスも妥協しないモデルに位置付け、それより上は、全く別のユーザー体験を提供できるモデルとしてrazrに力を入れていきます。edgeがお求めやすくなる一方で、その上のスペシャルな体験ができるモデルとしてrazrを主軸にしていくということですね。
―― 確かに、10万円を超えると何か特別なものを求めたくなる気持ちは分かります。折れる、というのは分かりやすくていいと思います。
松原氏 razrは折りたためることが若い人には新鮮だと思います。今度のただ、今度のrazrはそれだけでなく、折りたためるからこその新たしいユーザー体験を提案できるモデルになっています。個人的な希望ですが、場を改めてどこかでご説明できればと考えています。
―― razrのような最上位モデルがないと、メーカーとしての色が出しづらい部分はあると思います。この点はどうお考えですか。
松原氏 コスパが優れているだけでは、今さら売りにはなりません。生き残っているメーカーはみんなそうだと思っているので、長く自慢するようなことでもありません。おっしゃるように、今後もミドルレンジやハイエンド、さらにその上のスペシャルな体験を提供できるモデルまで出し続けて、特別なブランドであると思っていただけるようにしていきたいと考えています。
また、商品力だけでなく、買った後の安心感も非常に重要です。これもあえて自慢するようなことではなく、できて当たり前ですが。ユーザーに安心して使っていただけるブランドになることは、非常に重要です。
取材を終えて:ハイエンドモデルの展開にも期待
moto g53j 5Gとmoto g53y 5Gの2機種は、どちらもエントリーモデルとして、幅広いユーザーを狙った端末とのこと。ミッドレンジモデルに位置付けられるmoto g52j 5Gとは位置付けも異なり、3機種は併売されるようだ。このレンジの端末に、おサイフケータイなどの日本仕様を取り込めるようになったのは、moto g52j 5Gでローカライズに挑戦し、一定の成功を収めた成果といえる。特にY!mobile版のmoto g52y 5Gは価格が安く、キャリアとしても売りやすいモデルに仕上がっている。
ミッドレンジモデルとして評価を得たmoto g52j 5Gは、moto g52j 5G IIとともに販売を継続していくようだ。一方で、松原氏が語っていたように、コストパフォーマンスの高さだけでは生き残るのが難しい状況にもなりつつある。モトローラとしてのカラーを出していくには、やはりハイエンドモデルやrazrのようなプレミアムモデルを定期的に投入していく必要もありそうだ。razr 5Gの発売から2年たち、後継機を待ち望む声もある。今後の展開に期待したい。
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